あなたは、会社で残業をしていますか?もし、残業をしているのに残業代が支払われていない、または支払われている残業代が実際の残業時間に見合っていないと感じているなら、残業代を請求する権利があります。
しかし、残業代を請求するには、時効という期限があります。時効とは、一定期間請求しないままでいると、その請求権が消滅してしまうという法律上の制度です。残業代の場合、時効は3年です。つまり、3年間放置してしまうと、残業代を請求できなくなってしまうのです。
この記事では、残業代請求の時効と回避方法について詳しく解説します。サービス残業をしている人は、今すぐチェックしてください。
では時効はどのように決まるのかについてみていきましょう。
目次
サービス残業をしている人はこれだけいる
連合(日本労働組合総連合会)が2015年に調査した結果によると、サービス残業を経験したことのある日の割合は全体で4割強もいます。ただ個人的にはこれは氷山の一角であり、実態はもっと多いと思います。自身の経験や周囲の環境を見ても、むしろサービス残業をしていない人の方が多いのではないか?と思うほどです。
これは社会的に見ても大きな問題であり、残業代請求を行うことは自然なことであり、当然の権利であると考えるのが難しいというのも納得の調査結果とも言えます。
残業代請求の時効は?
- 時効とは、一定期間内に権利を行使しなかった場合に、その権利が消滅する制度です。
- 残業代請求も時効の対象となります。つまり、未払い残業代が発生してから一定期間が経過すると、会社から残業代を回収できなくなります。
残業代請求の時効とは、労働基準法第115条によって定められた、残業代の請求権が消滅する期間のことです。
「未払い残業代の時効期限は3年です」
さらに今後の法改正により、今後は5年になるという話もあります(現在は経過措置のあつかい)。
いずれにしても、時効は存在しますので請求するのは早い方が良いでしょう。
これも重要な事ですが、会社に正式に残業代請求を行なった日を持って時効の期間は止まります。例えば、2023年4月1日に残業代請求を行なった場合、3年前の2020年4月1日で時効は止まるという事です。
反対に請求しないままでいると、どんどん時効期間が進んでしまい、過去の残業代の請求権が消滅してしまいますので注意しましょう。
時効の中断は、請求書の送付や裁判の提起など、残業代を請求する意思を相手方に伝える行為によって行われます。時効の中断が行われると、時効の起算点がリセットされ、再び3年間の時効が始まります。
正式な残業代請求日とは「内容証明郵便」を送った日のことです。
ちなみにこの内容証明は労働基準監督署や弁護士に依頼した場合はそちらで対応してくれますが、自分で送ることもできるので、興味のある方は次の記事を読んでみてください。
弁護士が内容証明郵便を送ってくれる
弁護士に依頼すれば弁護士が内容証明を送ってくれます。
内容証明郵便を送ることで、正式に残業代請求をした日として記録され、請求可能期間の日付が進んでいくことを止めることができます。
先ほども説明しましたが、内容証明郵便を送ることで時効が中断されます。なお、時効の中断が行われるのは残業代を請求する意思を相手方に伝える行為を行うことで、具体的には以下のような方法があります。
- 請求書や内容証明郵便を送付する
- 裁判所に訴訟を提起する
- 労働基準監督署に申告する
- 労働委員会に調停や仲裁を申し立てる
ちなみにですが、この時効期限は将来的には5年に延長される予定とのことです。企業側にとっては残業代の未払いをしていると、いざ請求されたときに莫大な金額を支払わなければならなくなります。
この改正によって企業がどう変わるのかはわかりませんが、従業員として働く以上は覚えておくべきでしょう。
残業代請求についての弁護士への相談は下記リンクをどうぞ。
参考までに時効の延長についてもお話ししておきます。
時効の延長を申し立てる方法は、特別な事情がある場合に、裁判所に時効の期間を延長することを求めることです。具体的には、以下のような事情がある場合に、この方法が使えます。
- 請求権者が未成年者や成年被後見人である場合
- 請求権者が重度の障害や病気である場合
- 請求権者が災害や事故で被害を受けた場合
- 請求権者が相手方に脅迫や暴力を受けた場合
- 請求権者が相手方に欺瞞や詐欺を受けた場合
これらの方法は、時効の期間を裁判所の判断によって延長する効果があります。つまり、時効の期間が経過しても、裁判所が時効の延長を認めれば、残業代を請求できます。例えば、1月末日が時効の起算点であった場合、3年後の1月末日に時効が成立しますが、請求権者が相手方に脅迫を受けていた場合、裁判所が時効の延長を認めれば、その後も残業代を請求できます。
ただし、この方法は、裁判所の判断によって変わります。裁判所が時効の延長を認めない場合、時効は成立してしまいます。そのため、この方法はあくまで例外的な方法であり、時効の中断や停止を行うことが望ましいです。
弁護士報酬はいくら?
いまは弁護士報酬は弁護士事務所ごとに自由に設定できるようですが、昔は弁護士報酬の基準があり、それに基づいて決められていたそうです。現在もこの基準に基づいて報酬を設定している事務所もあり、私の場合もこの設定に基づいた報酬を支払いましたが、残業代回収額のおよそ20%程度でした。
残業代請求に関しては、勤怠記録や雇用契約書、給与明細などの証拠さえしっかり揃えていればほぼ確実に回収できるので、しっかりと準備をしておきましょう。
まとめ
残業代請求の時効は、残業代が発生した日から3年間です。時効が成立すると、残業代を請求できなくなります。時効を回避する方法は、
- 時効の中断
- 時効の停止
- 時効の援用の拒否
- 時効の延長
以上の4つがあります。時効の中断や停止は、残業代を請求する意思を相手方に伝える行為や相手方が支払いを認める行為によって行われます。時効の援用の拒否は、相手方が時効を主張しないことを約束することです。時効の延長は、特別な事情がある場合に、裁判所に時効の期間を延長することを求めることです。時効の援用の拒否や延長は、補助的な方法であり、時効の中断や停止を行うことが望ましいです。
周りの空気に押されて無理にサービス残業をしたり、残業時間の上限を決められている方、管理職扱いで残業代を払われていない方、年俸制だから残業代を払わない、みなし残業だから残業代を支払わない。
上記の理由で残業代を支払われないケースも多いのではないでしょうか?
これらの内容について、会社に聞いてもダメです!
基本的に会社は労働者有利の情報は渡してくれないと考えた方がいいです。
こちらから要求しない限り申請用紙も出てこないくらいに思った方が良いでしょう。
詳しい内容は必ず労働基準監督署か弁護士に相談してください。
以上、今回の記事がみなさんのお役に立てれば嬉しいです。
それでは