入社してはいけないブラック企業大賞ノミネート企業とは?過労やパワハラの実態を徹底解説

就職活動や転職活動で避けたいのが、ブラック企業へ入社することですよね。しかし、ブラック企業は一見して分かりにくいことも多く、実際に入社してからその実態に気づくケースも少なくありません。

そこで、ブラック企業の特徴や問題点を広く知らせることを目的として、2012年から毎年開催(※2020年より未開催)されている「ブラック企業大賞」という企画があります。

この記事では、ブラック企業大賞とは何か、過去の受賞企業とその問題点、ブラック企業に入らないためにはどうすればいいか、などをまとめてご紹介します。

ブラック企業大賞とは何か?

ブラック企業大賞とは、日本において、従業員に対して過労やサービス残業を強いたり、パワーハラスメントや偽装請負や派遣差別などが問題視されている企業(ブラック企業)の頂点を決めるという企画です。

運営主体は「ブラック企業大賞企画委員会」であり、労働組合役員やNPO法人の代表、作家、弁護士や大学教授などで構成されています。

現状では、際立ったブラック企業が取り上げられることはあっても、企業全体現場全体の向上にはなかなか結びついていないことから、ブラック企業が生み出される「背景や社会構造の問題を広く伝え、誰もが安心して働ける環境をつくること」を目的として挙げています。

ブラック企業大賞は毎年様々な賞が設けられ、その年に問題が起こったり発覚したりした企業がノミネートされます。ノミネート企業はインターネットや口コミサイトなどで公募され、企画委員会が選定します。その後、ウェブ投票や会場投票で受賞企業が決まります。

受賞企業には授賞式に招待されますが、これまで出席した企業はゼロです。授賞式では、代理の方が賞状を受け取ります。また、受賞企業には改善要求書が送付されますが、回答した企業もほとんどありません。

過去の受賞企業とその問題点

ブラック企業大賞は2012年から2019年まで8回開催されています(2020年より未開催)。その間に受賞した企業とその問題点を年代別にまとめてみました。

2019年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞三菱電機株式会社過労自殺や労災認定が相次いだことや、裁量労働制の不正運用が問題視されたことなど
特別賞株式会社電通労働基準法違反や過労死が続発したことや、労働時間の改竄や隠蔽が発覚したことなど
特別賞セブン-イレブン・ジャパン株式会社オーナーへの過酷な要求や圧力、7payの不正利用問題など
#MeToo賞長崎市役所職員の女性への性暴力やパワハラ、被害者への不利益処分など
Web投票賞楽天株式会社長時間労働やパワハラ、英語公用語化など

ノミネート企業

  • KDDI株式会社
  • 株式会社ロピア
  • トヨタ自動車株式会社
  • 吉本興業株式会社

2018年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞三菱電機株式会社14~17年にかけて男性社員5人が長時間労働によって精神疾患などを発症し、うち2人は過労自死していたことや、労働時間の改竄や隠蔽が発覚したことなど
特別賞日立製作所・日立プラントサービス株式会社20代社員が月に100~160時間もの時間外労働を余儀なくされ、上司から暴言を吐かれて精神疾患を患ったことや、数百人のフィリピン人技能実習生を不正に働かせていたことなど
市民投票賞財務省セクハラ問題や文書改ざん問題などで信頼を失墜させたこと
有給ちゃんと取らせま賞(新設)ジャパンビバレッジ東京株式会社(現・ジャパンビバレッジ株式会社)有給休暇を取得した従業員に対して、休暇中も仕事の電話やメールを送りつけたり、休暇明けに仕事量を増やしたりするなどの嫌がらせを行ったこと

ノミネート企業

  • 株式会社ジャパンビジネスラボ
  • 野村不動産株式会社
  • スルガ銀行株式会社
  • ゴンチャロフ製菓株式会社
  • 株式会社モンテローザ

2017年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西従業員に対して不当な配置転換と懲戒解雇処分を行ったことや、労働組合への敵対的な姿勢など
特別賞大成建設株式会社・三信建設株式会社過労死や過労自殺が相次いだことや、労働時間の改竄や隠蔽が発覚したことなど
業界賞新潟市民病院医師や看護師に対する長時間労働やパワハラ、医療事故の隠蔽など
ブラック研修賞ゼリア新薬工業株式会社研修生に対する長時間労働や低賃金、労災認定の拒否など
Web投票賞日本放送協会(NHK)契約社員や派遣社員に対する差別や長時間労働、パワハラやセクハラなど

ノミネート企業

  • 株式会社いなげや
  • パナソニック株式会社
  • 大和ハウス工業株式会社
  • ヤマト運輸株式会社

2016年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞株式会社電通24歳の新入社員が長時間労働の末に自殺したことや、1991年と2013年にも社員が過労自殺・過労死したことなど
WEB投票賞・特別賞日本郵便株式会社郵便局長が過労自殺したことや、郵便局員が無断で郵便物を廃棄したことなど
業界賞株式会社プリントパック・ディスグランデ介護株式会社(デイサービス「茶話本舗」FC企業)プリントパックは従業員に対して残業代を支払わず、パワハラやセクハラを行ったこと。ディスグランデ介護は従業員に対して無断で給与を減額したり、有給休暇を取得させなかったりしたこと
ブラックバイト賞(新設)DWE JAPAN株式会社(しゃぶしゃぶ温野菜)アルバイト従業員に対して長時間労働やサービス残業を強いたり、休憩時間を削ったり、罰金制度を設けたりしたこと

ノミネート企業

  • 株式会社エイジス
  • 株式会社ドン・キホーテ
  • 関西電力株式会社
  • 佐川急便株式会社
  • サトレストランシステムズ株式会社
  • 宗教法人 仁和寺

2015年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞株式会社セブンイレブンジャパン加盟店主に対する不当な経営圧迫や見切り販売妨害、団体交渉拒否など
WEB投票賞・アリ得ないで賞株式会社引越社関東(アリさんマークの引越社)従業員に対する懲戒解雇や人権侵害的な書類の掲示、労働組合の抗議行動に対する暴言や恫喝など
ブラックバイト賞株式会社明光ネットワークジャパン(明光義塾)アルバイト講師に対する長時間労働やサービス残業、休憩時間の削減、罰金制度など
特別賞暁産業株式会社従業員に対する過重労働や過少賃金、パワハラやセクハラ、労働災害の隠蔽など

ノミネート企業

  • 株式会社フジオフードシステム
  • 株式会社エービーシー・マート

2014年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞・WEB投票賞株式会社ヤマダ電機過酷なノルマや長時間労働で若い社員の過労自殺が起きたことなど
業界賞株式会社A-1 Picturesアニメ業界で「月600時間労働」などの長時間労働の疑いを持たれたことなど
業界賞株式会社不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)組合活動をしている従業員に対し、「労働基準法にぴったりそろったら(会社は)絶対成り立たない」と発言したことなど
要努力賞株式会社ゼンショー(すき家)従業員1人だけの「ワンオペ」が問題になったことなど
特別賞東京都議会女性蔑視のセクハラ野次の真相究明を放棄したことなど

ノミネート企業

  • 株式会社大庄
  • JR西日本
  • タマホーム株式会社
  • 株式会社秋田書店
  • 学校法人・智香寺学園、正智深谷高等学校&株式会社イスト
  • 株式会社リコー

2013年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞・WEB投票賞ワタミフードサービス株式会社過労自殺者を出しながら責任を認めず、遺族にも謝罪しないことなど
特別賞国立大学法人東北大学助手の男性が過労自殺したのにもかかわらず、責任を取らないことなど
教育的指導賞ベネッセコーポレーション「人財部付」という部署で従業員に「社内就職活動」を強いることなど
業界賞クロスカンパニー(現・ストライプインターナショナル)入社1年目の女性正社員が過労死したことなど

ノミネート企業

  • 株式会社サン・チャレンジ
  • 株式会社 王将フードサービス
  • 西濃運輸株式会社
  • 株式会社東急ハンズ

2012年

受賞企業

受賞名企業名受賞理由
大賞東京電力株式会社福島第一原発事故の復旧作業で被曝労働を外注し、責任を取らないことなど
市民賞ワタミフードサービス株式会社過労自殺者を出しながら責任を認めず、遺族にも謝罪しないことなど
特別賞株式会社ウェザーニューズ新入社員がわずか6か月で過労自殺したことなど
ありえないで賞株式会社ゼンショーアルバイト従業員との契約は業務委託であり、雇用する労働者ではないという摩訶不思議な主張
業界賞株式会社フォーカスシステムズ、株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリシステムエンジニアとして働いていた男性が過労死したことなど

ノミネート企業

ブラック企業に入らないためにはどうすればいいか?

ブラック企業大賞にノミネートされた企業は、就職活動や転職活動で避けるべき対象と言えます。しかし、それだけでは不十分です。ブラック企業は見た目では分かりにくいことも多く、新たな問題が発生する可能性もあります。

事前情報やトラブルの対処先をおさえておく

そこで、ブラック企業に入らないためには、以下のような方法や注意点を参考にしてください。

  • インターネットや口コミサイトなどで、企業の評判や実態を確認する
  • 面接や説明会などで、企業の方針や風土、労働条件などを直接聞く
  • 雇用契約書や就業規則などをよく読んで、不明点や不利益な点がないか確認する
  • 労働基準法や最低賃金法などの法律を知っておき、違反している場合は申し出る
  • 労働基準監督署や弁護士などに相談することをおそれない

まとめ

ブラック企業大賞とは、従業員に対して過労やサービス残業を強いたり、パワーハラスメントや偽装請負や派遣差別などが問題視されている企業(ブラック企業)の頂点を決めるという企画です。

2012年から毎年開催されており(2020年より未開催)、その年に問題が起こったり発覚したりした企業がノミネートされます。過去の受賞企業とその問題点を見てみると、有名企業や大企業も多く含まれており、驚くべき事実が明らかになっています。

ブラック企業に入らないためには、インターネットや口コミサイトなどで企業の評判や実態を確認したり、面接や説明会などで企業の方針や風土、労働条件などを直接聞いたり、雇用契約書や就業規則などをよく読んだり、労働基準法や最低賃金法などの法律を知ったり、労働基準監督署や弁護士などに相談したりすることが重要です。

ブラック企業大賞は、ブラック企業の問題を広く知らせることで、誰もが安心して働ける環境をつくることを目指しています。ブラック企業に騙されないように注意しながら、自分に合ったホワイト企業を見つけることができれば幸いです。

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