セクハラ・パワハラにあったらどうする?具体的な対処法と予防策を教えます

セクハラ・パワハラにあったらどうすればいいのか?この記事では、具体的な対処法と予防策を紹介します。セクハラ・パワハラは、被害者の心身やキャリアに深刻な影響を及ぼすだけでなく、職場の雰囲気や生産性にも悪影響を与えます。セクハラ・パワハラから自分自身や周囲の人々を守るために、以下のポイントを押さえておきましょう。

万が一のために覚えておくべき7ヶ条

その前に、まずは自分の身を守るための7ヶ条について記載しておきます。ハラスメントだけでなく、残業代請求や労災申請にも使える準備ですので、自分の身を守るために必ず習慣にしておきましょう。

7つの鉄則

仕事をするときの7つの鉄則!
どんな職場でも万が一のために以下ができるようにしておくこと!
①|出退勤のメモを取る1分単位・休憩時間の業務含む)
②|上司の指示・発言内容のメモを取る(指示メールは保存しておくこと)
③|連続勤務日数の記録(連続12日以上ある場合は注意!)
④|給与明細は書類で手元に用意しておく
⑤|雇用契約書はすぐに用意できるようにしておく
⑥|管理職は組織図を手元に持っておく
⑦|トラブル時の弁護士は【 日本労働弁護団 】へ連絡する
メモとしているのは、企業によって荷物の持ち込み禁止の場所があるからです。 それを悪用し、セクハラ・パワハラなどのハラスメント行為や、長時間労働などが常態化している職場があります。 自分の身を守り、のちのち、泣き寝入りせずに反撃できるような資料は用意してくことが大事です。

今回のケースはハラスメントですので、②|上司の指示・発言内容のメモを取る(指示メールは保存しておくこと)が役に立ちます。

有効なのは第三者機関

経験則での話をすると労基署の対応は?

さて、よく発想として出るのは、労働基準監督署に訴え出ると言う考えになると思いますが、名ばかり管理職で訴えた経験からすると、労働基準監督署の権力は一般的に考えられているよりも弱いという印象です参照|労基署はあてにするな?実際に労基署に訴えてみた(名ばかり管理職の残業代請求体験談)

というのも、もし仮に労働基準監督署の調査が入り、実態が認められて是正勧告があったとしても、法的な強制力がないのです。

つまり、労働基準監督署に訴えるというのはリスクを負う行為ではある割に、会社側がそれを無視することが可能になってしまっているというのが現状です。

もちろん会社内に調査に入ることで、会社側が問題意識を持ち改善に動くこともあると思いますが、ハラスメントを許す状況は会社の文化が影響している場合も多分にあると考えられるため、現実的に考えるとそこまで期待はできないでしょう。

影響力を考えると弁護士への相談が現実的

私の場合は、「名ばかり管理職」という点において訴えを起こしましたが、弁護士に依頼するよりも多くの証拠を必要なうえに、法的強制力を持たないため、守るかどうかは会社側の自主性に任せるしかない、というのが実態です。

実際、労働基準監督署の指導には頑として聞かなかった会社ですが、弁護士に依頼した途端に会社側は解決に向けて動き出したので、訴えを起こすのであれば、最初から弁護士に依頼するのが良いと思います。

それを踏まえて、セクハラ・パワハラそれぞれについてみてみましょう。

セクハラ

厚生労働省によるセクハラの定義

まずはセクハラの定義の確認です。

第2条 セクシュアルハラスメントとは、職場における性的な言動に対する他の従業員の対応等により当該従業員の労働条件に関して不利益を与えること又は性的な言動により他の従業員の就業環境を害することをいう。

2 前項の職場とは、勤務部店のみならず、従業員が業務を遂行するすべての場所をいい、また、就業時間内に限らず、実質的に職場の延長とみなされる就業時間外の時間を含むものとする。

3 第1項の他の従業員とは直接的に性的な言動の相手方となった被害者に限らず、性的な言動により就業環境を害されたすべての従業員を含むものとする。

(出典|セクシュアルハラスメントの防止に関する規定より抜粋)

つまり、以下の内容はいずれもセクハラなります。

  • 性的言動等:口頭や書面で下品な言葉を発したり、性的なジェスチャーや音を出したり、性的な画像や映像を見せたりすること
  • 職場等:職場だけでなく、出張や飲み会、通勤途中なども含まれる
  • 就業者等個人または集団:被害者は自分だけでなく、周囲の人々も含まれる
  • 就業環境:労働条件や職務内容だけでなく、心理的・社会的・物理的環境も含まれる
  • 不快若しくは不利益:被害者が主観的に感じたことが重視される

対価型セクハラと環境型セクハラ

セクハラには、「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」の2種類があります。

対価型セクハラとは、加害者が労働者の意に反する性的な言動を行い、労働者がそれを拒否したときに不利益な取扱いをすることです。たとえば上司が部下の女性をデートに誘い、部下が断ったら異動、降格、減給や解雇などの不利益処分を行うケースが典型例となります。

環境型セクハラとは、加害者が労働者の意に反する性的な言動を行い、労働者の就業環境を不快にすることです。たとえば同僚が女性社員の胸や尻に触ったり、エッチな話題でからかったりするケースが典型例となります。

セクハラをしている当事者は無意識かも

厳しくなった現在でもセクハラを受けている方は多いのではないでしょうか。

しかし、やっている本人は無意識であることが多いです。

勇気を持って社内で相談をしても、改善されるかどうかはあまり期待しない方が良いかもしれません。

セクハラに限らず、社内の窓口は形骸化しているため役に立たないことが多いです。それどころか、相談があったことが知れ渡り、より状況が悪化する危険性があるため、社外のホットラインか弁護士に相談するのが良いでしょう。

もし自分がセクハラを受けていると感じた場合は、証拠を用意しておきましょう。

証拠品
  • 音声データ

    • これは職場によっては制限がある場合も多いかもしれません。スマホやボイスレコーダーを持ち込める場所であれば、万が一のために録音の準備をしておいた方が良いでしょう。
  • セクハラのメールやLINEなどのメッセージの履歴

    • メールなどのメッセージ履歴は重要な証拠となります。形や日時が残っているものですので、ただ、これもセキュリティが厳しい職場などはデータ自体外部に持ち出したりすることが難しい場合があります。
  • 実際に受けたセクハラの内容や日時を記録したメモ

    • 上記2つともできない職場の場合は、最低でもメモは取っておきましょう。やはり口頭のみでは証拠として弱い可能性が高いので、より具体的な内容と日時を後から振り返って置けるようにメモを取ることをオススメします。

もしこういった行為を受け、精神的苦痛を感じてそれが身体に不調をきたすようになった場合は、その時期についても必ず記録しておくようにしましょう。

心身ともに疲れ切り、そんな余裕はないとは思いますが、それでもそこだけは力を出してみてください。

その記録が未来の自分を助けることになります。

そして社内の相談窓口に相談し、解決の見込みがない場合は迷わずに弁護士に相談しましょう。

弁護士への連絡先を載せておきますので、ぜひ活用してみてください。

パワハラ

厚生労働省によるパワハラの定義

1 優越的な関係に 基づいて (優位性を 背景に) 行われること

  • 当該行為を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われること
    • 職務上の地位が上位の者による行為
    • 同僚又は部下による行為で、当該行為を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
    • 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は 拒絶することが困難であるもの

2 業務の適正な 範囲を超えて 行われること

  • 社会通念に照らし、当該行為が明らかに業 務上の必要性がない、又はその態様が相当でないものであること
    • 業務上明らかに必要性のない行為
    • 業務の目的を大きく逸脱した行為
    • 業務を遂行するための手段として不適当な行為
    • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える行為

3 身体的若しくは 精神的な苦痛を 与えること、 又は就業環境を 害すること

  • 当該行為を受けた者が身体的若しくは精神的に圧力を加えられ負担と感じること、又は当該行為により 当該行為を受けた者の職場環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当 該労働者が就業する上で看過できない程度の支障 が生じること
  • 「身体的若しくは精神的な苦痛を与える」又は「就業 環境を害する」の判断に当たっては、「平均的な労働 者の感じ方」を基準とする
    • 暴力により傷害を負わせる行為
    • 著しい暴言を吐く等により、人格を否定する行為
    • 何度も大声で怒鳴る、厳しい叱責を執拗に繰り返す等により、恐怖を感じさせる行為
    • 長期にわたる無視や能力に見合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為
(出典|厚生労働省HP より)

身体的な攻撃と精神的な攻撃

パワハラには、「身体的な攻撃」と「精神的な攻撃」の2種類があります。

身体的な攻撃とは、殴る、蹴るなど、相手の体に危害を与える行為です。物を投げたり、物で叩いたりといった、直接的に相手の体にふれていない行為も該当します。たとえば、

  • 上司が部下の頭を叩く
  • 同僚が机や椅子を蹴飛ばす
  • 先輩が後輩の背中や肩を強く押す

精神的な攻撃とは、脅しや暴言、侮辱、名誉を棄損する発言などによって、相手に精神的なダメージを与える行為です。言葉だけでなく、メールやSNSなどによる攻撃も含まれます。たとえば、

  • 上司が部下に「お前は無能だ」「辞めろ」「死ね」と言う
  • 同僚が女性社員の容姿や私生活を嘲笑する
  • 先輩が後輩の仕事内容や成果を否定する

パワハラは被害者だけでなく周囲の人々も影響を受けます。職場の雰囲気が悪化したり、業務効率や品質が低下したりする可能性があります。また、パワハラは法律で禁止されており、加害者は懲戒処分や民事訴訟・刑事告訴の対象となる可能性もあります。

無意識な加害者

こちらも本人は無意識にやっている可能性があります。

実際に被害に遭われている方は、つらい立場にいらっしゃると思います。

その場合の解決策の一つとして、こちらも実際の被害状況を証明するための資料が必要ですので、頑張って準備をしておきましょう。

証拠品
  • 音声データ

    • セクハラの項目でも紹介した通りですが、職場によっては制限がある場合も多いかもしれません。スマホやボイスレコーダーを持ち込める場所であれば、万が一のために録音の準備をしておいた方が良いでしょう。
  • パワハラのメールやLINEなどのメッセージの履歴

    • こちらもセクハラの場合と証拠としては同様となります。脅迫じみたメールなどのメッセージ履歴は重要な証拠となります。ただ、これもセキュリティが厳しい職場などはデータ自体外部に持ち出したりすることが難しい場合があります。
  • 実際に受けたパワハラの内容や日時を記録したメモ

    • セクハラの場合と同じく、上記2つともできない職場の場合は、最低でもメモは取っておきましょう。やはり口頭のみでは証拠として弱い可能性が高いので、より具体的な内容と日時を後から振り返って置けるようにメモを取ることをオススメします。

参考までに【弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV】よりポイントをまとめた動画をご覧ください。弁護士の見解を把握しておくことで、証拠集めに重要な要素を押さえておくことができます。

【前編】

【後編】

【パワハラの慰謝料】

まとめ

セクハラとは、性的な言動や行為で相手を不快にさせることです。セクハラは、職場内だけでなく、取引先や顧客など職務上関係する人から受けることもあります。

パワハラとは、職務上の地位や立場を利用して相手に暴力や暴言を振るったり、無視したりすることです。パワハラは、上司から部下へだけでなく、同僚間や部下から上司へも起こり得ます。

セクハラ・パワハラは、被害者の人格権や尊厳を侵害する不法行為です。被害者は、加害者や使用者(会社)に対して民法709条に基づいて損害賠償請求をすることができます。セクハラ・パワハラ被害者へ支払われた慰謝料額は50万円~100万円程度です。参考:パワハラ・セクハラの慰謝料相場と請求方法 | 弁護士による様々な慰謝料の無料法律相談は「若井綜合法律事務所」

証拠は必ず取っておこう

以上見てきましたが、何らかの形で自分が被害を受けている記録を残すことが大事です。

その際は(5W1H)の形で残しましょう。

  • いつ(〜年〜月〜日〜時ごろ)
  • どこで(職場のデスク、会議室などで)
  • だれが(上司の〇〇から)
  • なにを(〜するように指示された)
  • どのように(断れない雰囲気だった、断る権限がなかったなど)

加えて

  • セクハラ・パワハラの内容や程度
  • セクハラ・パワハラが及ぼした影響
  • 加害者や使用者の責任度
  • 被害者の年齢や性別
  • 被害者と加害者・使用者との関係性
  • 被害者への謝罪や反省
  • 裁判例や社会通念

ここまで記録できていれば、証拠能力として高いものになります。

弁護士などの第三者機関との連絡方法を覚えておく

セクハラの項目でも触れましたが、社内に相談窓口があれば相談するのも良いと思いますが、そもそも相談窓口があるのに解決されずにずっとそのままという場合は、社内でも解決は望めないと考えた方が良いかもしれません。

万が一のために、弁護士に訴えられるだけの証拠は用意しておくべきだと思います。

セクハラ・パワハラそのものを訴えるのであれば弁護士に。

労働基準監督署に訴えるのであれば、それによってうつ病などの精神疾患になってしまった場合に行うというのが有効な手段だと思いますので、労災認定の条件について参考にしてみてください。

聞き取り調査等はありますが、基本的に労働基準監督署の調査官が会社とやりとりをしますので、あなたが直接会社と対峙することはありませんので安心してください。

もし上記のような場合に当てはまらない場合は転職をお勧めします。転職されたことのない方は不安だと思いますが、世の中仕事はたくさんありますし、以前に比べ、転職市場は活況になっていますし求人数は増えています。

決して、今まで苦労して耐えたものが無駄になるから、これからも耐え続ようなんて思わないでください。

過去に自分が苦労したことと、今、そしてこれから自分が苦しむということにはなんの関係もありません。

無理に我慢して自分を傷つけるのではなく、その場を去るというのも重要な選択肢の一つとなりますので、その手段を考慮に入れておくことをオススメします。なお、相談自体は無料でできますので、検討だけでもしてみてください。

声を上げるべき理由

実際にこう言った被害を受けられた方が声を上げるというのは勇気がいることだと思います。

声を上げるべき理由
私は勇気を持って声を上げるべきだと思います。 理由は2つ まずはあなた自身を守るためです。 あなたが、これからの社会生活を平和に送れるようになるために声を上げることは重要なことだと思います。 そしてもう一つが、同じ被害を受ける人を出さない、もしくは既に被害を受けている人を助けるためです。 仮にあなたが、自分を傷つけながら耐えていたとしても、あなたと同じ被害を受ける人が出てきてしまいます。 それは今現在なのか、将来あなたのポジションになる人なのかは分かりませんが、そういった周りの人や未来の人を助けるという意味でも行動を起こすべきだと私は思います。

おわりに

行動を起こすのは非常に勇気がいるものです。

周りに何を言われるかわかりませんし、社内での立場を悪くしてしまう事もあるでしょう。

しかしそれでも声はあげるべきだと私は思います。

誰かが助けてくれるのではなく、あなたがその誰かになるのです。

そのためには、会社を辞めてもいいと思える心の余裕が必要だと思います。

今いる会社にこだわるのではなく、自分の価値観を大事にし、それに従い行動をするようにしてみましょう。

そうすれば、視野が広がり、自分の居場所は今いる会社だけではないことに気づけるのではないでしょうか。

私はそれに気づかずに自分を傷つけ続け、うつ病となりました。

もし過去の自分に声をかけられるとしたら、上記の言葉をかけると思います。

皆さんの人生がより良いものになるようにお力になれれば幸いです。

それでは

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