ブラック企業から抜け出す方法:長く勤めるとキャリアが台無しになる5つの伝統

あなたは今勤めている会社がブラック企業だと思ったことはありませんか?ブラック企業という言葉はよく耳にしますが、具体的にどういう会社なのでしょうか?

一般的に言われているブラック企業とは、過重労働や低賃金、パワハラやセクハラなどの不適切な労働環境が常態化している会社です。しかし、それだけではありません。長く勤めることで「キャリアを台無しにするリスクがある会社」もブラック企業と言えます。

キャリアを台無しにするリスクがある会社とはどういう会社でしょうか?それは、「自分の能力や成果よりも古い慣習や上司の意向が優先される会社」です。このような会社では、以下のような5つの伝統が存在します。

  • 会議のための会議
  • とにかくあつまれ!
  • おばあちゃんの昔話(引き継ぎは口頭伝承)
  • 年数こそが正義
  • なぜかはわからないが昔からやっているこれをやれ

一般的なブラックといえば、長時間労働、パワハラ、セクハラ、サービス残業を思い浮かべると思いますが、伝統的企業にありがちな「時間感覚のなさ」もブラックだと思います。

長時間労働がブラックなのは言うまでもありませんよね?

時間感覚がないとは、「人の時間を奪うことに何の疑問も持たない」ということです。

結局のところこの考え方が根底にあるからこそ、いつまで経っても物事が改善しないのです。

会議のための会議

この伝統では、何でもかんでも会議で決めようとします。しかし、その会議は目的も内容も明確ではありません。参加者も多すぎて話がまとまらず、時間も無駄に消費されます。また、意見交換や情報共有だけで終わり、具体的な行動計画や責任者が決まらないことも多々あります。

このような会議では、自分の考えや提案を発表する機会も少なく、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を磨くこともできません。また、自分の仕事に集中したり工夫したりする時間も奪われます。

念のための会議

これは経験ある方多いのではないでしょうか?

〇〇日に会議がありそこであるテーマについて話合いたい

こういう会議設定があったとしましょう。するとこの会議のためにさらなる事前会議が行われます。

目的は事前に資料を準備して、どの発言をしてどの発言をしないなどの取捨選択を行うためです。

会議によっては必要なものもあるでしょう。しかし問題は「どんな会議であっても同じやり方をすること」です。

会議の重要度は内容によって大きく変わります。社外発表につながる重要な会議もあれば、みんなの意見交換をするために集まりたい程度の会議もあるでしょう。

そして問題はさらに加速します。

事前準備用の「さらなる事前会議が行われるようになる」のです。永遠に会議ばかりしているため、自分の仕事だけでなく、会議で出た確認事項の対応もできません。そうしてようやく自分の仕事に取り組むことができる頃には就業時間を過ぎています。

長時間労働対策会議

そこで新たな会議案が生まれます。

長時間労働対策」です。

そして「どうすれば長時間労働がなくなるかを検討するための会議」が始まります。そのための「事前準備の会議」の設定が行われます。

あなたの会社はこんなことやっていませんか?わかっていても言ったら怒られるから言わないなんて空気になっていませんか?しかしこれが実態なのです。この実態を知らない人たちが生産性が低いのはなぜか?と叫んでいます。

あるあると思った方。あなたはブラック職場にいますよ。

とにかくあつまれ!

いませんかこんな人。関係あるかどうかわからない人まで会議に連れて行く人。私がいた会社では人を連れていき過ぎて入りきれなくなっていました。なぜこんなことになるんでしょうか。

責任を分散させる

自分が責任を取りたくないからです。

誰かが何かを言ってくれることを期待して、自分の役割を果たすつもりがありません。今の会話の担当は誰かわからないがやってくれるだろう。もしできなくてもこんなに人がいるんだからみんなの責任にすることができるだろう。こんな考えで「念のために」人を集めているのです。

当然この時間は作業をすることができませんので業務に支障が出ます。そしてまた「長時間残業削減のための会議」が開かれるのです。

おばあちゃんの昔話(引き継ぎは口頭伝承)

この伝統では、仕事のやり方やルールが書面化されていません。先輩や上司から口頭で教えられるだけで、それを覚えて守ることが求められます。しかし、その教え方は「昔からこうやっているから」という理由付けで終わります。なぜそうする必要があるのか、どうすれば効率的になるのか、といった根拠や改善策は考えられません。

このような引き継ぎでは、自分の仕事に対する理解度や関心度が低くなります。また、新しい知識やスキルを身につける機会も失われます。

引き継ぎはどのような形で行われていますか?ちゃんと手順書はありますか?

最初は時間がかかっても、前任者と同じレベルの成果物を出すことができますか?

もしできないのなら引き継ぎ体制に問題があるかもしれません。

口頭での引き継ぎの限界

私がいた会社ではこんな感じの引き継ぎでした。

  • 期間は1ヶ月
  • 引き継ぎ資料はなし
  • 全て口頭

参考にできるのは初めて見る業務資料と口頭による説明だけ。口頭による説明も聞き逃したら終わりです。

よく考えてみてください。みなさん今の自分の業務を全て口頭で説明し切ることなんてできますか?

毎月のルーティーンだけでなく、四半期ごと、年度末のみの処理など、いろいろな種類の業務がありますよね?

それを一度の説明で全てできるわけがないのです。そして引き継ぎ期間が終わると前任者は逃げるようにいなくなります。

新しく担当になった人がやり始めるのは「発掘作業」です。

資料の説明もろくにされないため、この発掘作業で時間が過ぎ去っていきます。ですが業務は待ってはくれません。締め切りは担当者が変わったことなど関係ないのです。

こうして慣れない業務に加え「発掘作業」という作業が加わり、時間が過ぎてゆくのです。

組織の成長にもつながらない

こんなことが当たり前の企業文化の会社がどうやって発展できるのでしょうか?

前任者が1年かけてできるようになったことを新しい担当者も1年かけてできるようになるのです。

人で見たら同じことができる人が増えたと言えるかもしれません。

しかし組織としてその2年間で一体何が成長したのでしょうか?

何も成長していません。1年かけて、1年前の水準に戻っただけです。

こうして進歩のない組織が出来上がっていきます。こんな状態では正しい知識の積み上げができません。

そのうちかぐや姫は鬼退治に行き、桃太郎は月へ行くでしょう。

年数こそが正義

長期間同じ業務に従事している人が一番詳しいなど誰が決めたのでしょうか?ゴルフ暦10年の人と3年の人とではどちらが上手だと思いますか?

この問いにあなたは答えられますか?

答えは「わからない」です。

そう、年数だけでは何をやってきたのかがわからないのです。趣味で月1回ゴルフをやっている10年と、毎日大会を目指して練習している3年だったら、圧倒的に3年の方がうまいはずなのです。

ですが本人たちはそうは思っていません。

この業務はあの人でないとわからない問題

本当はわからないこともたくさんあるのに、あたかもわかっているかのように振る舞います。そのため、自分達の業務内容を知られたくありません。情報を極力出さず、自分の中で完結させようとします。ですが永久に持っていることはできませんので、いつか引き継ぎを行う時がきます。その時には完全にブラックボックス化した業務となり、期間内での引き継ぎを行うことができません。

そればかりか、質問をしたら怒られることすらあります。

なぜなら自分でもなぜそうしているのかがわからないからです

こういったことを防ぐためには普段から自分の業務を開示できる風通しの良さが必要になるのですがこれが難しいのです。

経営陣は風通しをよくすると口ではいうものの、実務がわからないので、なぜできないのかがわかりません。

こうして図らずも職場はブラック化して行くのです。

なぜかはわからないが昔からやっているこれをやれ

この伝統では、「無駄な作業」が多く存在します。例えば、「報告書」を作成する場合、同じ内容でも複数のフォーマットで作成したり、紙媒体で提出したりしなければならないこともあります。しかし、「なぜそうしなければならないのか」と問われても、「昔からそうしているから」という答えしか返ってきません。

このような作業では、自分の時間や労力を無駄に消費します。また、創造性や問題解決能力を発揮する余地もありません。

説明できない業務

あるあると思った方多いのではないでしょうか?

これ毎月やってるけど何の意味があるんだろう?

解決するためにいろいろな人に聞いていきます。そうして質問はたらい回しにされていきます。前任者に聞こうが、上司に聞こうがわかりません。でもどう考えても、もっといいやり方があるか、必要がない業務なのです。

そんな時は業務フローを変えてしまいましょう。あなたが責任を持って行動する限りは誰も何も言いません。

負担は大きくなりますが、長い目で見れば一番早い解決方法です。よって残業が増えることになりますが、将来的には効率化し、作業効率は上がるでしょう。ここで分岐点となる問題が生じます。

自分が問題解決に取り組む

問題解決に協力してくれる同僚、上司はいますか?

これに「YES」と答えられる職場はまだ良い職場でしょう。

ブラックな職場ではこんなことを頼もうものなら怒られます。自分の身に業務が降りかかることを極端に嫌がるのです。

そうならないように意図的に忙しそうにして見せたり、「自分の業務には自分が責任を持て!」とここぞとばかりに責任という便利な言葉を使います。

本来なら問題解決は喜ばしいことなのに、業務から逃げつづけることを覚えた人たちがいる職場では迷惑以外の何者でもないのです。こうして問題はうやむやになるまで放置され、自分の担当でなくなるまで耐え続けるのです。

これもまたブラック職場と言えるでしょう。

ブラック企業から抜け出す3つのステップ

ここまでブラック企業に見られる5つの伝統をみてきましたが、これらの伝統に長くさらされていると自分のキャリアは停滞し、市場価値は低下し、将来的に転職する際に不利になります。

では、ブラック企業から抜け出すためにはどうすれば良いでしょうか?以下の3つのステップをおすすめします。

  1. 自分の現状を客観的に把握する
  2. 自分の目標と希望を明確にする
  3. 転職活動を計画的に進める

自分の現状を客観的に把握する

ブラック企業から抜け出すためには、まず自分が今どんな状況にあるかを正確に知る必要があります。

  • 仕事内容・量・質
  • 労働時間・休日・残業
  • 評価・報酬・昇進
  • コミュニケーション・人間関係
  • ストレス・健康・生活

これらの項目について、自分が満足しているか不満足しているか、具体的な数字や事例を挙げて評価してみましょう。また、自分の会社が今回挙げたようなブラック企業に該当するかどうかをチェックしてみましょう。

自分の目標と希望を明確にする

ブラック企業から抜け出すためには、次に自分が何を目指して何を求めているかをはっきりさせる必要があります。以下のような質問に答えてみましょう。

  • どんな仕事がしたいか?
  • どんなスキルや知識を持っているか?
  • どんな環境で働きたいか?
  • どんな評価や報酬を得たいか?
  • どんなバランスで仕事とプライベートを両立したいか?

これらの質問に答えることで、自分のキャリアビジョンや転職理由、希望条件などが明確になります。これらは転職活動で重要なポイントとなります。

転職活動を計画的に進める

ブラック企業から抜け出すためには、最後に転職活動を計画的に進める必要があります。以下のようなステップで行ってみましょう。

  • 転職市場の動向や求人情報を調べる
  • 履歴書や職務経歴書等の書類作成や面接対策等の準備をする
  • 応募先企業とコンタクトを取り、面接等の選考プロセスを受ける
  • 内定先企業と条件交渉等を行う
  • 現職先企業と円満退社等を行う

急いで転職活動をすると結果的に失敗した転職をしてしまう可能性が高まります。事前に準備をしっかりと進めることで、自分のタイミングで満足のいく企業へ転職できるチャンスが大きくなります。

まとめ

以上が今回紹介する「ブラック職場」のお話でした。

聞いているだけで疲れてしまうような内容ですが。

今回の内容は、一般的に言われているブラック企業のような派手さはないものの、大きな体力、精神力の消耗、ストレスにつながります。

ホワイト企業と呼ばれる企業でもよくある話なのが怖いところです。側から見ているだけでは実態が分かりませんからね。

これ以外にもセクハラ・パワハラが常態化していて誰も疑問に思わない職場もあるのではないでしょうか。

理不尽な環境に耐えることは残念ながら成長にはつながりません。

キャリアを積むためには職場環境というのは大事です。もちろん今自分がいる場所でできることをやるというのは大事ですが、限界があります。そんな時のために、いつでも転職できるように準備をしておくことが大事なのです。

以上、今回のお話がみなさんの参考になれば幸いです。

それでは

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