うつ病の労災認定を受けるために必要なこと【実体験】

この記事では、私が経験したうつ病の労災認定や休業損害の手続きについて詳しく解説します。

この記事を読むことで、以下のことが分かります。

  • うつ病等の精神障害が労災として認定されている現状や問題点
  • うつ病等の精神障害が労災として認定されるために必要な2つの重要ポイント
  • 労災申請手続きや休業損害請求手続きの流れや注意点

この記事は、以下のような方におすすめです。

  • 仕事上または通勤中に心理的ストレス因子を受けたことがある方
  • 仕事上または通勤中に心理的ストレス因子を受けたことで精神障害(うつ病等)が発生・増悪した方
  • 精神障害(うつ病等)で退職・休職した方
  • 精神障害(うつ病等)で労災申請や休業損害請求を考えている方

それでは、早速始めましょう!

うつ病で労災請求する方法と注意点

仕事によるストレスや過重な負担が原因でうつ病になってしまった場合、労災保険法に基づいて労災補償を受けることができます。しかし、うつ病が業務に起因していたことを証明するのは容易ではありません。この記事では、うつ病で労災請求する方法と注意点について解説します。

1. 労災補償とは何か

労災補償とは、労働者が業務中や通勤中に負った障害や疾病の治療費や休業補償などの給付を受ける制度です。労働者は、自分の会社からではなく、国から直接支払われるため、会社の経営状況や雇用形態に関係なく受けられます。受け取ることができる金額は発症前3ヶ月平均賃金の80%です。

2. うつ病が労災認定される条件

うつ病は、仕事によるストレスや過重な負担が原因となって発症することがあります。その場合、労災保険法に基づいて、治療費や休業補償などの労災補償を受けることができます。

しかし、うつ病が業務に起因していたことを客観的に示す証拠が必要です。そのため、労災認定を申請する際には以下の2つのポイントに注意する必要があります。

  • 仕事内容や職場環境などの心理的負荷の程度や期間を明確に記録する。
  • 医師から診断書や意見書などをもらって、うつ病の原因や重症度を証明する。
  • 労災認定を受けるためには、精神障害を発症するおおよそ6か月の間に業務上による強い心理的な負荷が認められることが必要

これらのポイントは、厚生労働省が発表した「心理的負荷による精神障害の認定基準」でも示されています。この基準では、心理的負荷と精神障害との因果関係を判断するために、「心理的負荷要因」「精神障害要因」「その他要因」の3つの観点から評価することが求められています。

  • 心理的負荷による精神障害の認定基準
  • 職場でのストレスや過重労働が原因であることを証明する方法
  • 診断書や証言書などの必要書類

3. 労災請求の手順

うつ病で労災請求をする場合は以下の手順で行います 。

  1. 医師から診断書(第一種医師報告書)をもらって会社へ提出する。
  2. 会社から「休業開始届」、「休業給付申請書」、「医師意見書」、「職務内容報告書」、「職場調査票」等々必要書類一式(第二種医師報告書)をもらって、労働基準監督署へ提出する。
  3. 労働基準監督署から「労災調査票」、「職場調査票」、「医師意見書」等々必要書類一式(第三種医師報告書)をもらって、医師や会社と協力して記入し、労働基準監督署へ提出する※労働基準監督署に提出する資料の申立書(業務起因仕事上の出来事症状の発症
  4. 労働基準監督署が事実関係や因果関係を調査し、労災認定の可否を判断する。
  5. 労災認定された場合は、治療費や休業補償などの給付が開始される。労災認定されなかった場合は、異議申し立てや訴訟などの対応が必要になる。

4. 労災請求の注意点

うつ病で労災請求をする際には以下の注意点があります。

  • 労災認定されるまでには相当な期間(少なくとも6ヶ月以上)がかかることも覚悟しておく必要があります。
  • 会社との関係が悪化する可能性があるため、信頼できる人や専門家に相談したり、サポートを受けたりすることが大切です。
  • 労災申請手続きは、発症日から2年以内に行わなければならない。
  • 労災補償は治癒までの一時的な給付であり、将来的な就業能力やキャリアに影響を与える可能性があることを考慮する必要があります。

うつ病の労災認定されるための重要ポイント

心理的負荷による精神障害の認定基準

  • 労働者が心理的負荷(ストレス)によって精神障害(うつ病)を発症した場合、それが労働上の事故(労災)として認められるかどうかは、「心理的負荷」と「精神障害」の因果関係が明確であるかどうかが重要です。
  • 厚生労働省は2018年4月から、「心理的負荷による精神障害」の新しい審査基準 を導入しました。この基準では、「心理的負荷」と「精神障害」の因果関係を判断するために、「心理的負荷度」「発症時期」「証拠資料」など6つの項目 を評価します。
  • 「心理的負荷度」は、「職務内容・量・難易度」「人間関係」「勤務時間・休日・休暇」「職場環境」「その他」など5つの要素から判断されます。「発症時期」は、「心理的負荷」と「精神障害」が同時期または近接期間内にあったかどうかがチェックされます。「証拠資料」は、「医師等から得られた診断書やカルテ、薬物治療歴など」「職場や家庭で観察された行動や言動、メールや手紙など」「職場で行われた面談や指導、改善策など」「第三者機関から得られた意見書や報告書など」など4つの種類から集められます。

これらの項目をもとに、審査員は「高度」と「一般度」という2つのレベルで因果関係を評価します。「高度」とは、心理的負荷と精神障害が強く結びついていることを示すレベルであり、「一般度」とは、一般的に考えても因果関係があることを示すレベルです。これら2つのレベルが共に満たされていれば、労災認定される可能性が高くなります。

労災認定率は30%と低い

参考までにお伝えしますと、精神疾患による労災の認定の割合は30 %程度です。そのため事前の証拠集めが非常に重要となります。

労災認定の状況

上記の図でも、年々請求件数は上がっているものの、認定率には変化がないことがわかります。

労災認定の条件ついては厚生労働省がまとめていますので、事前によく確認し、心当たりのあるものは伝えておいた方が良いでしょう。

精神疾患で労災認定された人の時間外労働時間

精神障害の時間外労働時間
厚生労働省|令和3年度「過労死等の労災補償状況」より

労災認定された業務上の出来事

労災認定された精神障害の出来事1
労災認定された精神障害の出来事2
厚生労働省|令和3年度「過労死等の労災補償状況」より

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まとめ

うつ病で労災請求する方法と注意点について解説しました。うつ病は仕事によって引き起こされることもありますが、その証明は難しく時間もかかります(半年くらいはみておいた方がいいです)。

また、会社や自分の将来に影響を及ぼす可能性もあります。そのため、うつ病で労災請求をする場合は慎重に判断し、必要な書類や証拠をそろえて申請することが重要です。医師や弁護士などの専門家やサポート団体に相談したり利用したりすることも有効ですので、万が一に備えて対策を覚えておきましょう。

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