労災休業補償額アップ!残業代請求の必要性と方法

労災事故に遭った場合、休業補償給付という制度があります。これは、労災事故によって仕事ができなくなった場合、一定期間の間、給与の80%相当の金額を受け取ることができるものです。しかし、この休業補償給付は平均賃金から計算されます。平均賃金とは、発症前3ヶ月間の賃金を平均したものです。つまり、発症前3ヶ月間にサービス残業があった場合、その分の賃金は計算に入りません。サービス残業とは、残業代を支払わずに働かせることです。これは違法行為であり、労働者にとって不利益です。では、どうすればサービス残業分の賃金を受け取ることができるのでしょうか?その方法が残業代請求です。この記事では、残業代請求を行うことで休業補償給付額をアップする方法を解説します。

今回は、労災残業代請求の2つを行うことによって、労災の補償額を最大限まで高めることができる方法をお伝えします。

治療中の生活費や社会復帰に向けた職業訓練など、何かとお金が必要になる状況を助けてくれるものなので、是非とも押さえておきましょう。

残業代請求とは

残業代請求とは、サービス残業分の賃金を会社に請求することです。これを行うことで、以下のメリットがあります。

平均賃金が上昇する

平均賃金は発症前3ヶ月間の賃金から計算されますが、その期間内に残業代請求を行えば、平均賃金も増加します。

休業補償給付額が増加する

休業補償給付額は平均賃金から計算されますから、平均賃金が上昇すれば、休業補償給付額も増加します。

残業代請求の方法

残業代請求を行うには、以下の手順が必要です。

  1. 残業時間の確認:まずは自分がどれだけサービス残業をしていたかを確認します。タイムカードや勤務表などの記録や証人の証言などが有効です。
  2. 証拠書類の作成:次に、残業時間や賃金などを示す証拠書類を作成します。これには、勤務表や給与明細などが含まれます。
  3. 申立書の作成:さらに、会社に対して残業代請求をするための申立書を作成します。これには、自分の氏名や住所・電話番号・職種・雇用期間などの基本情報や、サービス残業した期間・時間・内容・理由などの詳細情報や、請求する金額や支払い方法などの要望事項などが含まれます。
  4. 弁護士への相談:最後に、弁護士へ相談し、申立書や証拠書類を添えて会社に送付します。弁護士へ相談することで、法的手続きや交渉などをスムーズに進めることができます。

労災の平均賃金の計算方法とは?

まず労災の平均賃金の計算方法について確認しましょう。

平均賃金の計算

労災における平均賃金の計算(基本給+能力・役職給+残業代+通勤費)

ご覧のように、残業代が含まれていますね。

仮にサービス残業をしていたり、名ばかり管理職の場合はこの部分がなくなってしまいます。

休業補償の計算

そして労災の休業補償金の計算方法は下記の通りになっています。

発症から過去3ヶ月平均賃金に対して80%を支給する

つまり、残業代を払ってもらっていない場合、休業補償でもらえる金額は大幅に減少してしまいます。

そのため労災申請を行う時には、必ず未払い残業代の回収(あるいは請求)をしておきましょう。

傷病手当金の方が補償額が少ない

会社は体調不良になった場合には傷病手当金を勧めてきます。

ですが傷病手当金では標準報酬月額の3分の2しかもらうことができません。※標準報酬月額とは保険組合が支給した給与に基づいて設定している計算根拠となる数字のこと。

長時間労働やパワハラによる精神疾患の場合においても会社は同様の対応をしてくるはずですが、それに応じる必要はありません。

残業代請求と労災申請を同時に行う

やるべきことは「傷病手当金を受給しつつ、残業代請求と労災申請を同時に行うこと」となります。

特に、労災申請を行う場合は調査期間が長引く(6ヶ月〜10ヶ月程度)傾向にあるため、残業代請求の方が早く決着がつく場合が多いでしょう。

残業代の回収に成功すれば、単純に未払い分を回収できるだけでなく、労災申請が認められた場合の平均賃金も残業代分が上乗せされるため、2重で得をすることになります。

まあ、正確には得をするではなくそれが正しい支給額なんですが。

常に万が一のための準備はしておくこと!

証拠となる資料は集めておく

このブログでは何度もお伝えしていますが、いつなにが起こるかわかりません。出退勤の記録やタイムカードの記録は1分単位で記録することは習慣にしておきましょう。

とくに給与として受け取っていない残業代(サービス残業代)がある方や管理職扱いで残業代を受け取っていない方は、必ず出退勤と休憩時間の記録をとっておきましょう(1分単位)。

もう一度確認しますが、

発症前過去3ヶ月の平均賃金(基本給+能力・役職給+残業代+通勤費)

これが計算方法です。

精神疾患の場合、おそらく長期の休職となり、場合によっては退職して治療に専念したり、再就職して再起を図る方も多いでしょう。

そんな時のためにどうしても金銭的な不安が付きまとってくると思いますが、無理は禁物です。

うつ病の再発率は60%

私の身近なケースでもありましたが、無理をして早く復帰しようとすることで、さらに症状を悪化させてしまうことになりかねません。厚生労働省のデータでは再発率が60%もあります(厚生労働省|こころの耳)

しっかりと補償金を受け取り、復帰後に新たなスタートが切れるよう、請求しておくことを強くお勧めします。

労災申請の流れについてもリンク貼っておくので、内容を確認してみてください。

まとめ

以上、今回は労災認定された時の平均賃金を減らさないために必要なことは「残業代請求を忘れずに行う」ということについて書きましたがいかがでしたでしょうか。

労災認定されるほどの負荷がかかっている場合は、かなりの長時間労働をおこなっている場合も少なくありません。

場合によっては「残業代の方が基本給より高い」なんて場合も少なくないと思います。

さらにうつ病などの精神疾患の場合は、長期化する傾向が強い上に、今後のキャリアの選択肢を限定しなければならないことも考えなければならないため、金銭的な補助は大きな助けとなります。

  • 現状の生活基盤を確保するため
  • 資金を元手に新たなことに挑戦したり学習するため

金銭的な安心感は治療に専念できるだけでなく、今後の人生の選択肢を広げることにもつながります。

サービス残業や、未払い残業代がある場合は同時並行で手続きを進めていくようにしましょう。

労災認定されるだけの証拠がそろっていれば、残業代も請求できる可能性が高いです。

私の経験を踏まえて一言言わせてもらうと

最終的に会社はあなたを守ってはくれません。あなたを守ることができるのはあなた自身だけです

もしものための選択肢は常に持っておくようにしましょう。

以上、今回の記事が皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

それでは

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