労災申請の時に知っておくと得する4つのポイントについて書いてみたいと思います。
あくまで私の経験談によるものなので、精神疾患のものを中心に書きますが、もしかしたら他の病気やケガの方でも同じような対処ができるかもしれないので参考にしてみてください。
- 労災申請は退職後でもできる( 精神疾患の場合は2年 )
- 労災申請に会社の承認はいらない。ただし、一度は申請する必要がある。拒否された場合はその旨を記載して提出すれば良い
- 労災の場合は通院費・薬代は全額自己負担だが、先に傷病手当金を受け取り、後から労災の休業補償金相殺して精算する事ができる
- 労災が承認された場合は、労災指定病院や薬局を使うと便利
労災指定病院以外を利用する場合は休業補償と医療費をそのつど労働基準監督署に請求する必要があります。
しかし、労災指定病院の場合は、病院が直接労働基準監督署とやりとりをしてくれるので可能なら初診の段階で労災指定病院・労災指定薬局を選びたいところです。
労災指定病院について検索する方はこちら
まず順番に見ていきましょう。
目次
労災申請は退職後でもできる(精神疾患の場合は2年)
実は労災申請は退職後でも行うことができます(退職後2年まで)。
私も労災申請をしたのは退職してから3ヶ月以上経ったあとでした。
私は労働基準監督署に名ばかり管理職の残業代請求について相談に行くのと同じタイミングで労災申請を行いました。
ただし注意が必要なのは一度は会社に労災申請を提出しなければならないということです。
なお、労災申請の用紙は会社から入手するか、厚生労働省のHPから入手することができます。
厚生労働省のホームページからダウンロードしてください。
労災申請に会社の承認はいらない
さて、様式をご覧いただくとわかると思いますが、「事業主証明」という欄があります。
これは会社が確認したという証明をする欄のため、会社に提出をしなければなりません。
しかしここでポイントがあります。
実はこの事業主証明、なくても問題ないんです。
労災申請は会社ではなく、厚生労働省や都道府県労働局が判断するものです。
ただし、最初の申請の時は会社に提出をしなければなりません。
返送なし、もしくは空欄で返ってくることがほとんどだと思います。
なぜなら、ここに証明印を押してしまうと、会社の過失であることを認めるようなものだからです。
私の場合は空欄の様式とセットで反論書が同封されて返ってきました。
ですが、気にする必要はありません。
事業主から証明をもらえなかった旨を労働基準監督署に伝えればそのまま受理され、審査が始まります。
精神疾患の場合業務との関連性を証明するのが困難なこともあり、時間がかかります。
私の場合は早かったとのことですが、それでも半年かかりました。
労災申請を行う方は、承認された場合、されなかった場合両方を考えて生活プランを考えておくのが良いでしょう。
傷病手当金を先に受け取り、後で休業補償と相殺できる
労災の場合は通院費・薬代は全額自己負担ですが、先に傷病手当金を受け取り、後から労災の休業補償金相殺して精算する事ができます。
労災申請をする場合に注意すべき点の一つに、原則として保健組合や国民健康保険との併用ができないという縛りがあります。
つまりどういうことかというと、通常病院で診察を受けたり、薬局で薬をもらう際の自己負担は3割ですが、全額を自己負担で支払わなければならないということです。
これは特に退職後に収入がなくなり、治療に専念している方にとっては大きな痛手となります。
その場合、裏技ですが、労災の審査結果が出るまでは傷病手当金を受けとり、労災の審査結果が出てから差額分の金額(7割)を支払うというやり方です。
この辺りの手続きに関しては下記記事をご覧ください。
私は保険組合と病院に事情を説明し、この方法を認めてもらいました。
退職後は金銭的に苦しい方が多いと思いますので、ぜひこの方法を試してみてください。
労災が認定された場合は、労災指定病院や薬局を使うと便利
長い調査を経て、労災が認められた場合は、支払いは全額自己負担となります。
そのため病院へ行く場合には現金を多めに用意しておく必要がありますが、労災指定病院や労災指定薬局の場合は最初の1回様式を提出すれば、現金の支払いは必要ありません。
つまり、会計でお金を払う必要はないということになります。
労災指定病院や薬局を利用する方法は以下の通りです。
- 治療費等給付金(医師等報酬)が支給されていることを証明する書類(治療費等給付決定通知書・治療費等給付決定見込み通知書・治療費等給付決定見込み証明書)を持参します。
- 受付で「労災」と伝えます。
- 指示に従って診察や処方箋の受け取りなどを行います。
- 支払いは不要です。ただし、労災保険が適用されない部分(自由診療や自費診療など)は自己負担となります。
労災指定以外の病院の場合は、毎回様式を作成し、領収書と一緒に労働基準監督署に費用を請求しなければなりませんが、労災指定の場合はその手続きが不要となるので非常に楽になります。
そのため、病院や薬局を選ぶ際はできれば労災指定の場所を選択することをオススメします。
ただし、近くに労災指定の病院が無かったり、予約がいっぱいで取れないことも大いに考えられますので、労災指定だったらラッキーくらいに思っていた方がいいかもしれません。
まとめ
労災申請は知っておくべき裏ワザがあることを紹介しました。退職後でもできる労災申請や会社の承認が不要な場合、通院費や薬代の自己負担について知っておくと、労災申請を行う人が得することができます。
労災申請は承認されれば今後の人生の歩むためにとても助かる支援制度です。
ですが会社にとっては労災を発生させた場合には、労災保険料が上がるだけでなく、会社の評判低下につながりますので、抵抗してくる企業も多くあるでしょう。しかし圧力に屈する必要はありません。そのために会社は労災保険の加入を義務付けているのですから(そもそも労災を反対してくるような会社からは転職をすることをオススメします。会社の評判ことを第一に考えているわけですから、長くいても疲弊するだけだということがわかるからです)。
最後にもう一度労災について確認すると以下の通りです。
- 労災申請は退職後でもできる( 精神疾患の場合は2年 )
- 労災申請に会社の承認はいらない。ただし、一度は申請する必要がある。拒否された場合はその旨を記載して提出すれば良い
- 労災の場合は通院費・薬代は全額自己負担だが、先に傷病手当金を受け取り、後から労災の休業補償金相殺して精算する事ができる
- 労災が承認された場合は、労災指定病院や薬局を使うと便利
少しでも疾患の原因が職場にあると判断した場合には申請をしておくことをオススメします。
あなたの体を守ってくれるのは会社ではなくあなた自身なのですから。
以上、この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
それでは