労災でうつ病になったら休業損害も請求できる!その方法と注意点

休業損害とは? 労災でうつ病になった場合、会社から給与の60%分の休業補償を受けることができますが、それだけでは不十分な場合もあります。そこで、会社に対して残りの40%分を請求することができるのが休業損害です。

休業損害は、労災認定されたうつ病によって仕事ができなくなった期間に発生した収入減少分を補償するものです。

労災認定されたうつ病とは、仕事上による強い心理的負荷が原因で発症した精神障害であることを証明する必要があります。

労災認定までの流れ

会社側も労災が認定されている時点でそれなりの覚悟をしているはずですから、手続きはスムーズに進むはずです。

労災認定までの流れ

この記事は労災認定された後に寛解まで回復した方向けの記事です。

条件としてまずは労災認定されることが必要になりますので、これから労災申請をする方は参考までにご覧ください。すでに労災認定されて寛解された方はこの記事の手続きを進めてください。

この手続きには弁護士の力が必要になりますので、まずは弁護士探しから始めましょう。弁護士は「日本労働弁護団」へ連絡してまずはつながりを作ってください。

休業補償の金額について確認

まず会社に対する請求内容の確認です。これまで受給した休業補償の金額について確認してみましょう。

労災の休業補償金額

休業補償

平均賃金基本給+ 残業代 + 通勤費

✖️ 60 % }

休業特別支給金

平均賃金基本給+ 残業代 + 通勤費

✖️ 20 % }

※基本給は、役職級・職能給・評価級など

固定部分の給与のこと。

休業損害の請求額は平均賃金の40%

今回請求する休業損害は、労災で算出した平均賃金の40%です。

休業損害の請求

休業損害

平均賃金基本給+ 残業代 + 通勤費

✖️ 40 % }

※基本給は、役職級・職能給・評価級など

固定部分の給与のこと。

総額では通常の労災補償の80%と合わせて平均賃金の120%を回収することができます労働基準監督署が労災認定したことは裁判においても重要な材料にもなりますので、休業損害も回収できる可能性は高いと思います(もちろん弁護士の交渉能力などにもよるので全額回収できるかどうかは保証できませんが…)

休業損害請求内容の確認

まず、労災が認定された場合に企業に対してできる請求金額の内容は次のとおりです。

労災認定後に請求できる内容
  1. 労災で保証されていない休業から3日分の休業補償金額
  2. 休業損害
  3. 働けなくなった期間に対する慰謝料

休業から3日分の休業補償

①|労災で保証されていない

休業から3日分の休業補償金額

平均賃金基本給+ 残業代 + 通勤費

✖️ 60 % }✖️ 3日分

休業損害

②|休業損害( 療養期間中の損害額 )

平均賃金基本給+ 残業代 + 通勤費

✖️ 40 % } ✖️ 療養日数

労務不能期間の慰謝料

③|働けなくなった期間に

対する慰謝料

発症時点から寛解までの日数分

交通事故の入通院慰謝料算定表を参考に算出

※参考|アディーレ法律事務所|別表1

労災が認定されていれば、それが裁判時の材料となるため、勝てる可能性は高いです。労災認定されている方は、忘れずに会社に請求するようにしましょう。

会社に対する損害賠償の請求は、残業代請求の項目で説明した内容が参考になると思いますのでリンクを貼っておきます。


休業損害請求の流れ

弁護士に依頼する

基本的な流れは残業代請求で弁護士に依頼した時と同じです。

STEP1
弁護士に依頼

弁護士と打ち合わせを行い、請求額を確定させます。弁護士は「日本労働弁護団」に連絡して探しましょう。

STEP2
会社に金額請求

確定させた請求額を会社に対して内容証明郵便を送ります。

STEP3
会社から回答

会社側から反論や回答が来ます。

STEP4
会社との協議

代理人と会社側との間で協議が行われます。

STEP5
和解 or 裁判

協議がまとまれば解決金が支払われます。まとまらない場合はSTEP6へ

STEP6
裁判へ

協議でまとまらない場合は裁判となります。※裁判となる場合は、別途弁護士費用がかかるので注意してください。

弁護士費用はいくらかかるのか

弁護士費用は弁護士事務所が自由に設定できますが、昔定められていた「日本弁護士連合会の報酬基準」が参考になると思います。現在もこの基準を使用している弁護士事務所もありますので載せておきます。

民事事件の着手金・報酬金は請求額・回収額により変わりますので、ご自分がどこに該当するのか計算してみるとイメージしやすくなると思います。※あくまでも目安なので、正確な金額は実際に利用する弁護士事務所に確認してください

(旧)日本弁護士連合会報酬基準
引用:(旧)日本弁護士連合会報酬基準

弁護士費用については下記記事にまとめていますので、詳しくはこちらをご覧ください。

裁判になる場合はそれなりに時間もかかるので生活資金は確保しておいてください。

いざ裁判へ!

さあ裁判です。

といっても基本的には弁護士にお任せです。場合によっては出廷する可能性もありますが、並行して行う和解交渉で決まればその必要はありません。

裁判手続きの流れ

STEP1
裁判手続き

基本的に裁判手続きも弁護士がやってくれます。

STEP2
裁判和解交渉

裁判中も和解交渉が可能なため、継続して和解の協議を進めます。

STEP3
和解成立

和解がまとまればそこで裁判は終了し、和解額が支払われます。

STEP4
裁判継続

交渉がまとまらない場合は裁判での判決を待つことになります。

STEP5
判決

裁判の判決が出た場合は、会社側に支払命令が下ります。

STEP6
損害賠償金額支払い

会社から弁護士(代理人)に対して損害賠償金額を支払います。その後、弁護士から損害賠償額の振り込みがあります。


長期化する場合もあるので生活資金は確保しておこう

上記のような流れになります。

裁判になると数ヶ月から半年程度時間がかかりますので、あらかじめスケジュールは考えておいた方が良いでしょう。

これで労災の手続きは全て完了となります。

参考動画|弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV

まとめ

最初の労災申請から考えると数年単位の戦いになります。

ですが労災申請は必ず行うべきだと思います。

労災申請を行うべき理由

労災申請は反対にあってもするべき理由

労災認定されたときの補償額が手厚いだけでなく、損害賠償請求も行うことができますし、仮に認定されなかった場合でも、継続して傷病手当金を受給することができます。

会社の反対に合うことが多いと思いますが、会社は従業員を守る義務があります。そもそも反対する方がおかしいのですから、圧力に負けて悪しき前例つくってはいけません。退職後も2年間は労災申請を行うことが可能(精神疾患の場合)ですので、必ず行いましょう。

あなたの行動がブラック企業の抑止力となり、同じような被害を受ける人を減らすきっかけになります。

世の中からブラック企業が減れば企業の新陳代謝が早まり、本当に必要とされる企業が生き残る公平な社会が生まれると私は思っています。

1人の行動は小さな一歩ですが、皆さんの力を合わせれば大きな力となります。

以上、この記事がみなさんのお役に立てれば嬉しいです。

それでは

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