うつ病は長引くと重篤な精神障害になります。早期発見・早期治療が大切です。しかし、自分がうつ病だと気づくことは難しいものです。特に、思考力や集中力が低下することは、ストレスや睡眠不足など他の原因でも起こり得ます。そこで、この記事では、うつ病の初期症状でよくある思考力低下に焦点を当てています。自分がうつ病にかかっていないかどうかをチェックするために参考にしてください。
うつ病になっている方は共感していただける部分があると思います。うつ病になったことのない方は自分の体に起こる変化に耳を傾け、注意を払う必要があるでしょう。友人、知人がこういう訴えをしている場合は、精神科の受診を勧めてあげましょう。
ご自身の体にこのような症状が出ていると感じている方はすぐに精神科を受診しましょう。
それでは早速みていきたいと思います。
目次
思考力低下とは?
思考力低下とは、物事を理解したり判断したりする能力が落ちることです。うつ病では、「思考制止」や「思考抑制」と呼ばれる現象が起こります。これは脳の機能バランスが崩れて生じるもので(【精神科医が解説】うつ病の初期症状と症状の経過 | こころみ医学)、「精神運動抑制」という一連の精神的・身体的な運動能力の低下(注意が必要な中等症や重症のうつ病とは?診断基準、薬などの治療法 | NHK健康チャンネル)の一部です。以下では、思考力低下でわかる4つのサインを紹介します。
物事を深く理解したり論理的に結論づけたりすることが困難になります。例えば、「仕事や勉強で新しい知識や技術を身に付けられない」「日常生活で困った問題やトラブルに対処できない」「自分の感情や欲求を言語化したり表現したりできない」というような場合です。
何かを考えている時、無意識のうちに関連性を結び付けたり、計算したり、数多くの処理が脳内で行われています。考えられなくなったことで、日頃どれだけ脳が高速で様々な処理をしているのかがわかります。考えようと頭を使うと、頭の一部がピクピクと反応して動いているのを感じます。長時間腕立て伏せをして、もう支えられない状態になった腕のように力が入りません。
力が抜けていくのと同じように、考えようとしている内容が抜けていきます。会話の内容もまともに頭に入ってこず、人との会話が噛み合わなくなります。職場ではこのことで怒られることが何度もありました。
今思うとこの時すでにうつ病の症状が発症していたということです。
頭全体または一部分(特に前頭部)に締め付けられるような痛みや重苦しさを感じます。これは、思考力の低下に伴って脳の血流が減少することで起こると考えられています。例えば、「仕事や勉強で集中しようとすると頭がパンパンになる」「日常生活で何かを考えようとすると頭が重くなる」「リラックスしようとしても頭の圧迫感が消えない」というような場合です。
私の経験で言うと、常に頭はフル回転で回っており、オーバーヒートしている状態です。
頭が回っているといっても、勝手に回っているだけです。何も噛み合っていないので暴走状態ですが、自分でコントロールできないので我慢するしかありません。これが普段の状態なので、何か考えようとするとさらに頭に負担を与えることになります。とてつもなく頭が痛くなります。
車で言うとサイドブレーキを弾いたままアクセルを全開にするようなものです。負担は大きいですが全く前に進みません。頭にダメージが残るので、すぐに考えられなくなります。
この状態までなっているとうつ病はかなりの程度まで進行しており、数ヶ月程度では治りません。
同時に睡眠もまともに取れなくなっていると思いますので、最近眠れないのはもしかしたらうつ病の初期症状かもしれません。今現在この症状に悩まされている方は、すぐに精神科を受診し休養することをお勧めします。
文字を見ても意味が理解できなかったり、読むスピードや正確さが落ちたりします。これは、思考力の低下に伴って言語能力や記憶力も低下することで起こります。例えば、「本や新聞やネットの記事を読んでも内容が入ってこない」「メールや手紙やレポートを書くのに時間がかかる」「話したい言葉が出てこない」というような場合です。
健康な方は何を言っているかわからないと思いますが、このままの意味です。ひどくなると文字を文字として認識できません。
例えば本を開いたとしましょう。文字がぎっしりと書かれています。健康な方は今文章を読まれているように、文字と文字のつながりにより意味を読み取り理解して文章として認識します。ですが、その文字の意味を認識することができません。
本を開いたら見えるのは、黒い文字の書いてある画像なのです。
絵を見ている感覚と言った方が良いでしょう。文字として読もうとすると、とてつもない疲労感に襲われます。
この状態までくるとすぐにでも休まなければなりません。リハビリも文字1文字を読むところから始まります。1文字から2文字、1文、1段落と読む範囲を広げていきます。たったこれだけのことですが、最初はひどく疲れます。
1日1回これを練習として行ったら終了です。休んで次の日か調子の良い日にもう一度繰り返します。
これを何ヶ月も行った後でようやく1ページ、2ページと読み進めることができるようになるのです。
最終的に本1冊読むことができるようになるまで、うつ病になってから半年はかかりました。
参考動画|精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル
物事を考えたり判断したりすることで体力や気力が奪われるように感じます。これは、思考力の低下に伴ってストレス耐性も低下することで起こります。例えば、「仕事や勉強で少し考えただけでぐったりする」「日常生活で些細な決断でも悩んだり迷ったりする」「自分の気持ちや考えを整理しようとしても疲れてしまう」というような場合です。
私の場合も常に疲れている状態でした。それに加えてものを思い出したり、考えたりしようとするとひどく疲れます。ちょっと考えたらすぐ横になると言った具合です。
人間の集中力は1時間が限界と言いますが、うつ病の場合は数十秒と言ったところでしょう。
回復力も大きく落ちているため、1日1回が限界です。つまり、1日で考えられる時間は数十秒と言うことです。
優先順位は休養が先決ですので、体調が良い時しかやってはいけません。無理をすると悪化するだけですので。長い長いリハビリが始まります。
うつ病の人が行動できないと言う時はこの疲労感が強すぎるせいなのです。
思考力低下に対処する方法
思考力低下は、自分ではどうしようもないことではありません。以下に対処法をいくつか紹介します。
睡眠・食事・運動は脳の健康に欠かせません。十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの良い食事を摂り、適度な運動を行いましょう。これらは脳の血流を改善し、神経伝達物質の分泌を促進します。また、ストレス解消効果もあります。
読書・趣味・学び直し等は脳の活性化に役立ちます。新しい知識や技能を身に付けたり、興味や関心のあることに没頭したりすれば、脳細脳細胞のつながりを強化し、記憶力や思考力を高めます。また、自己肯定感や達成感も得られます。
思考力低下が長期間続いたり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、うつ病の可能性があります。その場合は、自己判断せずに専門家に相談しましょう。専門家とは、精神科医や心療内科医や臨床心理士などです。彼らはあなたの状態を診断し、適切な治療法やカウンセリングを提供してくれます。
うつ病は早期発見・早期治療が重要です。思考力低下だけでなく、気分の落ち込みや無気力・不安・睡眠障害・食欲不振などの他の症状もある場合は 、早めに専門家に相談してください。
参考動画|精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル
まとめ
この記事では、うつ病の初期症状でよくある思考力低下に焦点を当てて紹介しました。思考力低下は、「思考制止」や「思考抑制」と呼ばれる現象で、「精神運動抑制」という一連の精神的・身体的な運動能力の低下 の一部です。思考力低下でわかる4つのサインは以下の通りです。
- 考えることができない
- 頭がオーバーヒートしたような頭痛がする
- 文字が読めなくなる
- 考えると疲労感が強くなる
これらのサインに気づいたら、以下の対処法を試してみましょう。
- 睡眠・食事・運動をしっかり取る
- 読書・趣味・学び直し等で脳に刺激を与える
- 専門家に相談する
ここまで見てきた症状は、いずれも日常生活に大きな支障をきたすレベルです。一旦うつ病になってしまうとこの状態からなかなか抜け出せません。
調子が良くなってきたと思っても、一気に悪化するのもうつ病の怖いところです。
気圧の変化、気温の変化など、外部環境の変化によっても調子は大きく変化します。その調子の良いタイミングを図ってリハビリを行いますので、なかなか症状が良くなりません。回復に大きな時間を要することもうつ病の特徴と言えるでしょう。
そのため、初期の段階で休養を取れるようにすることが重要な対策となります。
頭の重さが取れない、疲れやすくなったと感じたら睡眠を多く取る。仕事を早く切り上げるなどの対策が必要になります。
忙しい時期だからとずるずる仕事をしていると私のように大きな障害を負うことになります。
そのため、まずはうつ病になることのリスクを認識し、できるだけ自分でコントロールすることが重要になります。
どうしても業務から離れられない場合は退職・転職を視野に入れましょう。
一旦倒れてしまうと回復までは年単位の時間を要するため、早めの対応が必要になります。
キャリアアップだけでなく、脱出装置としても転職は常に考えておくようすることをオススメします。
以上、今回の記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
それでは