業務が原因でうつ病になった人は多くいます。しかし、その中でも労災申請をしている人は少数です。労災申請は難しいと思われがちですが、実は時効期間や注意点さえ押さえれば誰でもできます。この記事では、業務でうつ病になった人が知っておくべき労災申請の時効やコツを紹介します。
目次
労災申請とは何か?どんなメリットがあるか?
労災申請とは、業務上の事故や疾病によって身体や精神に障害が生じた場合に、国から給付金や医療費などの支払いを受けることを求める手続きです。労災申請をすることで、以下のようなメリットがあります。
- 給付金や医療費などの経済的な負担を軽減できる
- 会社から解雇されたり、不利益な扱いを受けたりすることを防げる
- 会社に対して責任や改善を求めることができる
- 自分の健康や権利を守ることができる
経済的な負担から無理を押して再就職し、再発を繰り返すと言う悪循環をなくすためにも、治療に専念できる経済的な支援は受けておきたいですね。
労災申請の時効期間は2年!過ぎてしまったらどうなるか?
労災申請には時効期間があります。時効期間とは、事故や疾病が発生した日から数えて2年以内に申請しなければならないという期限です。もし時効期間を過ぎてしまったら、どんな理由があっても給付金や医療費などの支払いを受けることができません。
「過去に傷病手当金を受けとっていて、傷病手当金を受給した日から既に2年経過してしまっている人」
傷病手当金を受け取った方ならご存知かと思いますが、受け取るためにはその期間は「会社から給料をもらっていないこと」が条件となります。
つまり、本来は労災にあたるものであっても、会社から「傷病手当金が出るから大丈夫」と言われてその言葉を鵜呑みにしてしまった場合、労災の対象になる場合でも請求できなくなってしまうということです。
労災保険と健康保険では補償内容が段違いなので、この差はかなり大きな痛手となります。
このブログでは何度も言っていることですが、
「会社の言うことをそのまま鵜呑みにしてはいけません!」
特に労災など、業務上の過失がある場合は会社は責任を逃れるために、なんとか労災申請を回避しようといろいろな手を使ってきます。
ただし、時効期間は以下のような場合に中断されます。
- 事故や疾病に関する診断書や証明書等を提出した場合
- 事故や疾病に関する治療記録等を提出した場合
- 労働基準監督署等から事故や疾病に関する調査・指導・勧告等があった場合
このように、時効期間中断の条件は厳しくありません。しかし、それでも時効期間内に申請しなかった場合は、絶対的に権利喪失してしまいます。そのため、早め早めに行動することが大切です。
会社が支払っている労災保険はこの時のため!
こんなことが思い当たることはありますか?
- 正しい情報を教えない
- まずは傷病手当金を進めてくる
- そもそも労災の条件を教えてくれないなど
会社には労災保険に加入する義務があります。労働者は労災申請をする権利があります。
労災保険は労働者を守るためにあるので、申請する主導権は労働者にあるのです。
労災は「業務上の原因」と言う前提条件があるため、精神疾患の場合は会社が認めることがほとんどないでしょう。
うつ病などの精神疾患になるほどのストレスがあると言う場合は大抵の場合、「労働基準法違反」が原因の場合が多いからです。
労働基準法違反の企業は毎月厚生労働省から発表されています。
また、外部サイトですが、過去の労働基準法違反のデータをまとめているサイトもありますので、参考までにご覧ください。転職先の企業選びに使えるかもしれません。
労災申請する際の注意点や必要書類は何か?
労災申請する際には、以下のような注意点や必要書類があります。
- 業務上で発生した事故や疾病であることを証明する必要がある
- 身体的・精神的な障害が生じたことを証明する必要がある
- 会社に対して事故や疾病の発生を届け出る必要がある
- 労働基準監督署に対して労災申請書を提出する必要がある
- 労災申請書(労働基準監督署で入手可能)
- 診断書(医師から発行されるもの)
- 証明書(会社から発行されるもの)
- 治療記録等(医療機関から発行されるもの)
これらの注意点や必要書類は、労災申請の成否に大きく影響します。特に、診断書や証明書は、業務上で事故や疾病が発生したことや身体的・精神的な障害が生じたことを明確に示す必要があります。そのため、医師や会社と十分に相談し、正確かつ詳細に記入することが重要です。
労災申請の流れや手順は?
労災申請の流れや手順は以下のようになります。
- 業務上で事故や疾病が発生したら、すぐに会社に届け出る
- 医師から診断書を受け取り、会社から証明書を受け取る
- 労働基準監督署で労災申請書を入手し、記入する
- 労働基準監督署に労災申請書と診断書・証明書・治療記録等を提出する
- 労働基準監督署から給付金や医療費などの支払い決定通知を受け取る
このように、労災申請は比較的シンプルな手続きです。しかし、実際には様々な問題や困難が起こり得ます。例えば、
- 会社が事故や疾病の発生を認めない場合
- 医師が業務上で事故や疾病が発生したことや身体的・精神的な障害が生じたことを証明しない場合
- 労働基準監督署が給付金や医療費などの支払い決定通知を遅延させたり、不当に減額したりする場合
このような場合は、自分だけで対処するのは難しいかもしれません。そのため、専門家や弁護士に相談することも検討してください。
まとめ
ここまでをまとめると以下のようになります。
- 労災申請には時効がある
- 時効期間は給与を受け取っていない日から2年経過した日
- 傷病手当金を進めてくる(これ自体は悪い事ではありませんが)
- 会社は労災の存在を教えてくれない
- 労災の対象となる可能性でも会社は対応を避けようとしてくる
- しっかりとした知識を身につけ、自分で自分を守れるようにしておく
- 心当たりがある場合は、弁護士に相談してみる
労災申請では注意点や必要書類だけではなく、会社や医師や労働基準監督署の対応も重要です。もしあなたも業務上で事故や疾病が発生した場合は早急に対処することが大切です。また、労災申請に関する専門家や弁護士などの相談も有効です。労災申請は難しいことも多いですが、自分の権利を守るためにも正しく行うことが必要です。
結局のところ、最後は自分の身は自分で守らなければならないということになります。
今いる会社や周りの同僚が親切の場合でも、自分の権利についてはしっかりと把握し、知識を身につけておきましょう。
以上、この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
それでは