今回は休業補償の計算根拠となる平均賃金について解説したいと思います。
労働基準監督署の方も人間です。
念のため万が一間違えていないかどうかを確認できるように、計算方法を覚えておきましょう。
実際私は内容を確認してみたところ、残業代の計算内容が間違っていましたので、修正してもらいました。
今回は、保険組合に加入していると支給される傷病手当金と比較し、労災保険がいかに手厚い補償が受けられるのかを見ていきます。
労災の疑いがあるのに、会社が協力してくれないために申請を諦めている方や迷っている方は、是非参考にして申請をしていただきたいと思います。
目次
労災申請と傷病手当金の違いとは?
労災の休業補償と傷病手当金は、休業中に受けられる給付金ですが、対象となる傷病や支給方法が異なります。
- 労働災害(業務上・通勤中に起こった怪我や病気)が原因で休業した場合に受けられる保険給付です。
- 支給額は、平均賃金の80%で、所得税や社会保険料が免除されます。
- 支給期間は、休業開始日から3日間の待期を除き、医師の診断書に基づいて決まります。
- 労働基準監督署長に労災認定を申請する必要があります。
- 私的な事由(労働災害以外で起こった怪我や病気)が原因で休業した場合に受けられる保険給付です。
- 支給額は、賃金の3分の2程度(所得税・社会保険料控除後)で、所得税や社会保険料が差し引かれます。
- 支給期間は、休業開始日から3日間の待期を除き、最長18カ月までです。
- 健康保険組合等に傷病手当金を申請する必要があります。
傷病手当金
まずは保険組合から給付される傷病手当金の計算から確認してみましょう。
標準報酬月額の3分の2を日割り計算で支給
標準報酬月額の定義は下記の通りです。
標準報酬月額
健康保険・厚生年金保険では、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額(健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し、保険料の額や保険給付の額を計算します。
全国保険協会HPより
標準報酬月額は「4月から6月の給与額」から算定されます。具体的には、「4月から6月に実際に支払われた給与総額」を3で割り、算出された平均額(報酬月額)を保険料額表に当てはめ、該当する標準報酬月額を決定します。
標準報酬月額の保険料額表一覧は下記リンクを参照してください
報酬の範囲
標準報酬の対象となる報酬は、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。なお、年4回以上の支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
全国保険協会HPより
この報酬の範囲には、残業代も含まれますので、未払い残業代がある場合にはしっかりと会社に請求をしておきましょう。
労災の休業補償
続いて労災で支給される休業補償についてみてみましょう。
平均賃金 ✖️ 80%※
※厳密には休業補償給付60%と休業特別支給金20%の合計です。
この平均賃金は病状が発症した前の月の給与の締日から3ヶ月間の平均値を取ります。
この平均賃金は傷病手当金と同様に、基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等、労働の対償として事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。
こちらも、賃金の計算には残業代が含まれますので会社に対する残業代請求と合わせて申請を行うことをオススメします。
まとめ
以上、傷病手当金と休業補償の比較をして内容を見てみましたがいかがでしたでしょうか。
もう一度おさらいすると以下のとおりです。
傷病手当金 = 標準報酬月額の3分の2
休業補償 = 平均賃金 ✖️ 80%
ポイントは賃金の7割弱と8割とで差がある点。そして傷病手当金の場合は4〜6月の平均額が基準となることと、休業補償は直近の平均賃金が基準になる点です。
いずれにしても、労災の休業補償の方が補償が手厚いという点と、労災の場合は医療費が全額負担してもらえるので、労災の申請を行うことを強く勧めます。
最終的に自分の身を守れるのは自分だけですので、長い目で見た時にどちらが自分の人生のためになるのかをよく考えて決断してください。
このブログでは何度も言ってますが、会社は最後まであなたの面倒を見てはくれません。
周りの言葉に流されることなく、行動できることを強く願っています。
以上、参考になれば嬉しいです。
それでは