サービス残業が常態化していたり、管理職でも満足な権限もないのに長時間働いているあなた。残業代を請求したいと思っていますか?もしそうなら、まずは「残業をした」ということを証明する必要があります。しかし、どのような証拠が必要で、どうやって集めることができるのでしょうか?この記事では、残業代請求に必要不可欠な証拠とその集め方を徹底解説します!また、手元に証拠が無い時でも大丈夫!退職した後でもできる方法もご紹介します!
目次
残業代請求に必要な証拠とは?
- 雇用契約書(契約内容記載されている残業代についての証明に必要)
- 給与明細(コピー)
- 出退勤記録(出退勤の記録がわかるものでメモでも可)
- 社員賃金規定(入社時にもらえるはず)
- 社員就業規則(入社時にもらえるはず)
- 未払い残業代計算書(これは最初に請求する際に必要となります)
- 上司からの指示メール(管理職の方は必要)
雇用契約書と賃金規定、就業規則は入社時にもらえると思いますが、給与明細や、出退勤の記録、未払い残業代の計算書は自分で用意する必要があるので、事前に準備しておきましょう。
もし退職後に請求したい場合は、直接会社に問い合わせて送付してもらう必要があるので、資料を揃えるハードルが上がってしまいますので、何が起きてもいいように、退職の意思の有無に関わらず日頃から管理しておくことをオススメします。
そのためにこのブログでは会社員のための7つの鉄則を決めています。
どんな職場でも万が一のために以下ができるようにしておくこと!
①|出退勤のメモを取る(1分単位・休憩時間の業務含む)
②|上司の指示・発言内容のメモを取る(指示メールは保存しておく)
③|連続勤務日数の記録(連続12日以上ある場合は注意!)
④|給与明細は書類で手元に用意しておく
⑤|雇用契約書はすぐに用意できるようにしておく
⑥|管理職は組織図を手元に持っておく
⑦|トラブル時の弁護士は【 日本労働弁護団 】へ連絡する
メモとしているのは、企業によって荷物の持ち込み禁止の場所があるからです。
それを悪用し、セクハラ・パワハラなどのハラスメント行為や、長時間労働などが常態化している職場があります。
自分の身を守り、後々、泣き寝入りせずに反撃できるような資料は用意してくことが大事です。
それでは改めて一つずつ見ていきましょう。
雇用契約書
雇用契約書は入社時に必ずもらえる書類ですので必ずもらえる書類ですので大切に保管しておきましょう。
給与形態について記載されているので、みなし残業、固定残業、年俸制なのか、割増賃金はいくらで計算されているのかなど、基本情報が記載されています。
- 管理職(〇〇部長、〇〇マネージャーなど)
- みなし残業制
- 年俸制
- 固定残業制
など
仮にここで「残業代は含まれている」と書いてあっても関係ありません。
あくまで労働基準法に基づいて残業代が支払われているかどうかの実態が重要です。
大抵の場合、これらの制度を使用している企業は残業代を抑えることを目的としていますが、制度の名称はなんの意味もありません。
どのような制度を用いているかで残業代が決まるのではなく、週40時間以上の労働に対して必ず支給しなければならないのが残業代です。
「月40時間分の残業代を含む」と記載されていれば40時間以上の残業をした分は1分単位で残業代を支払わなければなりません。
例)年収〇〇万円(みなし残業代40時間分含む)→ 実際は50時間/月の残業をした場合、10時間分の残業代を追加支給しなければなりません。
どんな記載があっても関係ないので怖れることはありません。
参考【弁護士西川暢春の咲くや企業法務TV】
固定残業代
名ばかり管理職
給与明細(コピーでも可)
給与明細は重要な証拠となりますので、手元に残しておきましょう。
ここで注意しておきたいのが、会社によって給与明細は大きく異なるということです。
紙でもらう会社もあれば、WEB上での表示だけの場合もあります。
その場合は、退職した場合、回収するのが困難になってしまうので、在職中に忘れずにデータを移すか、紙に印刷して保管しておきましょう。
出退勤記録
システムが導入されているなら出退勤システムのデータ。もしなければ「メール」や「日記・メモ」です※ベリーベスト法律事務所より。
こちらも会社ごとに管理方法が異なりますので注意が必要です。
そして最も残業代請求で重要なものであり、改ざんされる率が高いものです。タイムカードや勤怠管理ソフトが導入されていない場合や、改ざんされている場合もあります。そのような場合は、他の証拠を探す必要があります。
こんな経験はありませんか?
ウチは40時間までしか残業代はつけられないから先にタイムカード切ってこい!
この場合は、タイムカードは切っても退勤時間のメモは取っておきましょう。
のちに労働基準監督署の調査部門がパソコンのログなどと照会し、記録が正しいかどうかをチェックするので必ず記録してください。
記録の時に注意するのは、1分単位で記録するということです。
5分単位や10分単位だと正確な記録とみなされずに証拠として弱いと判断されかねません。
また、対象は時間外すべてです。
例えば勤務時間が9:00〜18:00の場合、勤務開始前の8:45に出社した時は、出社時間が勤務開始時間としてカウントされます。
つまり15分の時間外労働としてカウントします。
勤務開始前は勤務時間としてカウントしないという会社も多いかと思いますが、会社のいうことを聞く必要はありません。
1日にすると小さな差ですが、積もり積もって大きな差になりますので、メモは必ずとっておきましょう。
始業前の残業に関しては、裁判において通常の残業よりも厳しくチェックされるため「始業前時間に行った業務内容・理由(納期に間に合わせるためなど)・上司からの指示」など具体的な内容の証拠が必要となる可能性が高いので、念のため細かに記録する習慣をつけておきましょう。
社員賃金規定
これに関しては、入社時に従業員に対して渡さなければならないので必ずもらえると思いますが、管理体制が固まっていないベンチャー企業などではない場合もあるかもしれないので注意しておきましょう。
もらった場合は大切に保管しておきましょう。
残業代の計算方法の乗率が記載されていますので、残業代計算書の作成に必要となります。
社員就業規則
こちらも、賃金規定と同様に、入社時に従業員に対して渡さなければならないので、必ずもらえると思いますが、管理体制が固まっていないベンチャー企業などではない場合もあるかもしれないので注意しておきましょう。
休職期間やその他の福利厚生など、法定外の福利厚生についても記載されていることがありますので、できれば読んでおきたい書類です。
もらった場合は大切に保管し、いつでも確認できるようにしておきましょう。
未払い残業代計算書
こちらは自分で残業代請求を行う場合は、自作する必要があります。計算方法は上記で用意した未払い部分の残業代を計算する必要がありますので、結構大変です。
労働基準監督署や弁護士に依頼する場合は、提出した資料に基づいて作成してくれるので作成は不要です。
まずは自分で請求してみたい方や興味のある方は下記記事をご覧ください。
上司からの指示メール(管理職の方は必要)
私の場合はこの資料がなくても残業代を回収できましたのですが、証拠となる書類は多い方が良いので加えておきます。
管理職と管理監督者は異なりますが、中でも上司からの指示メールというのは重要な証拠になります。
管理監督者の定義を整理すると、下記の条件を満たしている必要があります。
- 部門等を統括する立場である
- 会社経営に関与している
- 労働時間や休憩は自由であり、労働基準法の規定が適用されない
- 給与面で他の従業員より優遇されている
つまり管理監督者であれば「業務指示を行う上司は存在しない」のです。
管理監督者は経営者と同じ立場
先ほど説明したように管理職の場合は「管理監督者」の条件として、「部門等を統括する立場」「会社経営に関与している」というものがありますので、上司というものがそもそも存在しません。
そのため、上司からの指示があったという事実は、「管理監督者」に該当しない証明となるため、その証拠を用意しておくことは、会社との交渉や裁判での重要な材料となります。
詳しい内容は下記記事に譲りますが、意識しないと消してしまうものなので、習慣として身につけておきましょう。
まとめ
以上が残業代を請求する際に必要となる書類です。
上記の資料は労基や弁護士に提出が必要です。資料が不足するとそれだけ回収へのハードルが上がってしまいますので注意です。
在職中なら集めやすいですが、退職してからだと入手困難になる資料がありますので、いつどんなことが起きても良いようにしっかりと準備しておきましょう。
残業代請求に必要な証拠は、「タイムカード」や「勤怠管理ソフトの記録データ」、「メール」や「日記・メモ」、「同僚・上司・取引先等からの証言」や「交通機関利用履歴」などです。しかし、これらの証拠が無い場合には、弁護士に相談することがおすすめです。弁護士は、証拠の収集や提示を行う際にプロフェッショナルなサポートしてくれます。
なお、本記事は参考情報です。実際に残業代請求をする場合は専門家に相談してください。
以上、この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
それでは