今回は労災申請を行なった時の労基署との聞き取り調査の内容を公開します!
実際にどういう質問がされるのか?
どのようなポイントが労災認定のポイントになるのか?
気になる点があると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
うつ病労災申請とは?
うつ病労災申請とは、仕事が原因でうつ病になった場合に行うことができる制度です。しかし、認定されるためには厳しい基準があります。
聞き取り調査開始
質問者は労働基準監督署の調査官。
回答者は私です。
異変に気がついたのは〇〇頃です。
入社以降、深夜業務が続き、睡眠時間が短くなっていましたが、入眠障害が出始めた頃が〇〇頃です。
眠れなくて、深く考えられなくなり、思考力の低下を感じ始めました。
夜眠れなくなってから朝食を摂らなくなりました。入社してからは多忙で、食事は楽しみというよりも、摂るだけと言う日々が続いていました。
これ以上の出社不可能と感じたのは病院の初診頃です。
〇〇月になると、一睡もしないで出勤することもありましたが、業務上どうしても納期がたくさんあったので、出勤せざるを得ませんでした。
眠れないだけではなく、めまい、頭痛がひどくなっていき、会社を休んだ当日には起き上がれないほどでした。
メンタル疾患での通院は初めてです。
私が会社に入社したのは〇〇日です。
入社のきっかけは、転職サイトのエージェントが紹介してくれたことです。私の経歴で、条件の良いところをエージェントが探してくれました。ベンチャー企業で勤務してみたいと言うのもきっかけの一つでした。
業務内容は、企業の体制づくりや資料作成などが本来の仕事でした。
エージェントの方と会社の面接で、会社の業務は順調に進んでいると言う情報でしたが、現実は違っていました。
提出した資料の通り、1ヶ月100時間前後の時間外残業を行い、連日の深夜残業と休日出勤業務を行っていたのは〇〇月以降です。
勤務記録がありますので、後日、提出いたします。
〇〇日〜〇〇日までです。
年度末の業務があり、社内の資料作成等の業務がありました。また、外部に提出する資料作成の業務も重なりました。連休もあったので、溜まっていた業務対応です。
毎月月末に決算もあり、社外向けの資料作成準備も重なりました。
タイムカードの記録が正しいです。
タイムカードと勤怠システムは別のシステムです。
出退勤の記録ですが、出勤してタイムカードを押し、すぐに仕事をします。また、仕事を終えるとすぐにタイムカードを押します。
〇〇月からですが、タイムカードの記録は人事が保管しています。保管しているタイムカードの情報を各労働者に伝え、各労働者が勤怠システムに入力します。
私はありません。
管理職扱いだったので、私の労働時間記録は特段管理されていませんでした。
一般社員だったら月45時間以上時間外残業をやってはいけないので、数字上の時間を調整させていた可能性はあります。
〇〇部門のマネージャーが辞めました。
最初は〇〇さんが辞めました。その後に入社した〇〇さんも入社後すぐに体調不良となり退職しました。
そうです。
〇〇さんは出勤がおぼつかなかったので、〇〇月から〇〇マネージャーの業務が私に加わりました。
〇〇月に一大イベントである業務がありました。
そのための準備業務が〇〇月頃から重なりました。
業務に共通点が多いので、私に振られたのだと思います。
私は〇〇部門に在籍していました。〇〇部門には、〇〇部と〇〇部がありました。
統括部長の下にマネージャーがいて各部門がありました。
〇〇部マネージャーの仕事は、統括部長と私に分けられました。
それぞれの部署は関連しているが完結できておらず、統括部長下のマネージャーは、他の業務にかかりきりでした。
上司とは「〇〇氏」です。以下、上司と言います。
週に1回社外向けに社長と上司が状況報告をしていました。
そして、社長と上司が課題や質問を受けます。その回答の資料作成を依頼されていました。
社外への状況報告は、◯曜日にあるので当日もしくは遅くとも週末までには回答しなくてはなりません。
すぐに取れるデータもありましたが、たくさん情報収集に時間の係るデータもありました。しかし、最優先で、資料を揃える必要がありました。
すぐに、上司と社長へ情報を提供し、共有して社外に説明する必要があります。
この突発的な資料作成は、毎週頻繁にありました。
私には部下が二人おりました。正社員と派遣社員です。
派遣社員は、労働時間が決まっているので、時間管理は必要ありませんでした。
当社では、〇〇月は働き方改革が会社でできていなかったので部下も100時間長時間労働を行なっていました。
〇〇月から部下の時間外労働を45時間以内に抑えるために、私が部下の仕事をやるしかなくなりました。部下の時間外労働時間は45時間ぎりぎりに収まるか収まらないかに減りましたが、その分私の仕事量が多くなりました。
管理者以外の一般社員の労働時間を減らすのは会社全体での取り組みで、毎週、ミーティング等で見直していました。
外注に頼める仕事もありましたが、お金がかかるため暗黙の空気で、時間外労働時間の関係ない管理者が、負担するしかない状況でした。
先にお話ししました、社外への資料を私が作成し、上司からまずOKをもらいます。
その後に、社長に説明に行くと「そうではないだろう」と差し戻されることがよくありました。
資料作成には、予算も絡み各部署との調整が必要となり、時間がかかります。
私に資料を依頼してくる際に、上司と社長で方向性を決めてから資料を依頼して欲しいのですが、段取りも含めて話し合われず、こちらに仕事を振ってくるため、社長と上司との間に「認識のズレ」が生じていたと思われます。
入社してからずっとです。
最初から、業務範囲が明確でなかったことも理由だと思います。
入社前は「業務状況は順調」と聞いていましたが、体制ができていないばかりか、出来ていると言われていたことが出来ていませんでした。
私の前任者は、私が入る数ヶ月前に退社しており、引継ぎもなく、記録も残っておらず、1からスタートせざるをえませんでした。
そんな状況にも関わらず、社長や上司から次々に仕事が振られる状況であったため、コントロール不能な状態でした。
〇〇月以降です。
契約書や予算の申請を行う必要がありました。
予算の申請書を社長に持っていくと「上司が直接持ってくるものだ」「お前からではないだろう」と厳しい口調で聞く耳持たない様子で言われました。
〇〇月以降、3回か4回社長から厳しい口調で言われたと思います。
〇〇月の経営会議の時です。
私と社長の他に取締役と部長、マネージャーの複数名が参加します。
会議は、現状報告と宿題事項の報告から始まります。
私は月に1回の業務報告を行っていました。
間に合わないものがあると社長に「そんなことまだ出来てないのか」「それは自分の仕事なんだからやらないとだめだろう」「スケジュール通りなんで出来ないんだ」とみんなの前で言われました。
社長は強い口調で怒っていました。
経営会議の場で、社長が上司に聞いているのに、私に「どうなんだ?」と振ってきたため、代わりに私が社長に怒られました。事前情報がないのに振られ説明できず、社長に怒られました。
社長から怒られるようになったのは、業務が思うように進められなくなったことが影響しているかもしれません。それまでは努力していこうと言うスタンスでしたが、徐々に社長は強い口調になっていったと思います。
上司は、会議の時や社外に対して、出来ていないものをできているとよく言っていました。
私が入社した時には、体制づくりや業務状況はすでに切羽詰まった状況でした。
元々の期限だった資料をすぐに再提出すると社外に上司が返事をしてしまいました。
内容が全然できていなかったので、通常3ヶ月はかかる資料です。
時間が全然取れないため、形だけ1週間で仕上げましたが、当然提出先からはOKがもらえませんでした。
ずっと聞かされていたので仕事に集中できませんでした。
私の執務室はあまり広くなく、密室になっていて上司と他のマネージャーも話を聞かされていました。
上司から、私への暴言や失言はありませんでした。
入社以降ずっとです。
先にお話しした、社長と上司からの突発的な業務に時間が取られてしまい、自分の仕事ができない状態がずっと続いていましたので、仕事内容を精査する時間が取れませんでした。
所定の休憩時間は1時間ですが、実際は10〜15分で食事して、戻って仕事をしていたので、30分より短いくらいしか取れていませんでした。
本来は上司の仕事ですが、先にお話ししたとおり、上司は別部署の業務にかかりきりだったので、自然と私の仕事になっていました。
部門間の情報共有ができていませんでした。
各部署からの情報を集められない中で、予算資料の提出期限が迫ってくるので、不完全のまま数値を拾い資料を作ると実績と乖離が出てしまいます。
毎回正確な資料が作れず、社長に怒られました。
〇〇月です。毎月決まった日に会議があるので、次の日は落ち着くため予定していたのですが、業務が立て込み、受診できませんでした。
却下されたのは〇〇月くらいだったと思います。
組織の見直しと、業務を明確にする必要がありました。
特定の人物に業務が集まっているので、業務を見直せば、時間外の削減につながるとの方針を社長は持っていました。
私は個人では対応が難しいので、人員を増やしてほしいと提案しましたが、社長から「これ以上増やすつもりはない」と有無を言わせず、言われました。
私がいる部門に対しては、今いるメンバーをもっと上手く使って欲しいと言う考えがあったようです。
〇〇月位です。仕事がいっぱいいっぱいだったので上司に提案しましたが、「それはしょうがない」と言われ改善もされませんでした。
以上が労働基準監督署による聞き取り調査の内容です。細かい部分に関しては伏せてありますが、大まかな流れはこれが全てです。
前提条件としては、事前に提出した「申立書」をもとに聞き取りが行われます。
申立書の作成内容については下記記事をご覧ください。
事前の申立書の記載内容が重要
労災認定された内容が網羅されていますので、参考になると思います。
この聞き取り調査をもとに、最終判断となる心理的負荷の判定が行われます。
もし申立書に書きそびれた内容があるなら、忘れずに伝えておきましょう。
例えば、具体的にどういった叱責を受けたのか、何回叱責を受けたのかなど、細かくて伝えるまでもないと判断せず、少しでもストレスを感じたことがあるなら細かいところまで伝えましょう。
この聞き取り調査が、情報を提供する際の最後のチャンスでもありますので、しっかりと準備をして臨みたいところです。
まとめ
この記事では、うつ病労災申請における労基署聞き取り調査の全記録(体験談)を紹介しました。この記事が同じような境遇にある方々の参考になれば幸いです。
以上、参考にしていただければ幸いです。
それでは