今回は、私が実際に残業代請求を行った体験談をシェアしたいと思います。私は以前、毎月100時間以上の残業をしていましたが、「管理職」扱いのため残業代は支払われていませんでした。ですが「管理職」は法律上の「管理監督者」と違い、残業代の支払い義務があります。そこで、会社に対して残業代請求を行ったところ、約250万円の支払いを受けることができました。この記事では、私が残業代請求に使用した資料や手順を詳しく公開します。これから残業代請求を考えている方や興味がある方の参考になれば幸いです。
目次
残業代の基礎知識
まず、残業代請求について知っておくべき基礎知識を説明します。
- 残業代請求の条件: 段階的な指示や暗黙の指示があれば、会社から明示的な指示がなくても残業代は発生します。
- 残業代請求の時効: 未払賃金(残業代も含む)は3年間有効です。つまり、3年以内に請求しなければ権利が消滅します。
- 残業代計算方法: 基本給÷法定労働時間×割増率×時間外労働時間で計算します。割増率は法定時間内(25%)、法定時間外(50%)、深夜(25%)、休日(35%)など場合によって異なります。
残業代の割増率一覧は下記図の通りです。月60時間以内と月60時間長で割増率が変わりますので覚えておきましょう。
証拠集め
このブログでは万が一の備えとして7つの鉄則を定めています。残業代請求はもちろんハラスメント対策にもなりますので、普段から習慣にしておくことで、いざという時に焦る必要がなくなります。
- 出勤簿:1分単位で出勤時間・休憩時間・退勤時間のメモ。
- 給与明細:毎月受け取っている給与明細。データの場合は印刷して手元に保管しておきましょう。
- 残業代計算メモ:出勤簿をベースに残業代の計算をします。労基署や弁護士でも計算してくれます。
この内容で説明していきます。早速見ていきましょう!
出勤簿
ある意味一番難しい資料かもしれません。特に、退職後になると入手が難しくなりますので、なるべく在職中に記録はしておきたいです。
私の場合は会社側も残業代を支払わなくていい管理監督者として認識していましたので、なるべく正直に入力しても問題ありませんでしたが、人によってはタイムカードを先に押させられたり、入力情報を変更するように迫られることもあるでしょう。
そんな時は、必ず1分単位で出勤時間・休憩時間・退勤時間のメモを残すようにしてください。
ハッキリいって証拠としてはこれが一番重要です。
職場に荷物や筆記用具すら持ち込むのが不可能な場合や、持ち出しが禁止されている場合も、記憶している限りの情報を残すようにしておきましょう。
労働基準監督署の調査官や弁護士はPCのログや電気の消灯時間など、様々な方法で履歴と照合しますので、データを残しておくことは非常に大事となります。
実際に提出した出勤簿です。
出勤時間・休憩時間・退勤時間が日付順に入力してあります。
資料はシステム入力しているものですが、会社によっては手書きのところもあるかもしれませんし、タイムカードと連動している場所もあるかもしれません。
重要なのは実際の出退勤の時間を1分単位で入力あるいはメモを残しておくと言うことです。
これは必ずやってください。ここが1番のキーポイントとなります。
給与明細
続いて給与明細です。
これは必ず、どんな企業でももらえます。
紙でもらうのか、データで閲覧するのかは会社によって違うはずですが、書類で提出できるように準備しておいてください。
残業代計算のベースとなる基本給の把握に役立ちます。
また、会社によっては「上限〇〇時間までしか出さない」などの場合に不足している残業代を計算するときにも使います。
これはタイムカードをベースに作成されているはずなので、サービス残業などの未払い残業代が反映されていないことの証拠となります。
なお、残業代の計算方法ですが、上記の基本給+役職給+評価給の合計が基本給となります。そしてその基本給に対して残業代の割増率がかかるので、残業代請求は多額になりますので、迷っている方は請求することをお勧めします。
残業代計算メモ
最後は残業代の計算メモです。
これはあくまで参考程度でいいと思います。自分自身どの程度残業代を回収できそうかを把握したり、自分で会社に直接残業代を請求する場合には必要となりますが、労働基準監督署や弁護士に依頼する場合は、より正確な計算結果を出してくれますので任せてしまっていいと思います。
ちなみにこちらは実際に弁護士に計算してもらった残業代の計算資料です。
こちらをベースに会社に請求を行いました。
また、同時に労災申請を行う方はこの資料も併せて必要となりますので、準備しておいておくことをオススメします。
残業代請求をする際は労働基準監督署か弁護士に依頼するのがスムーズです。それぞれのサイトのリンクを載せておきますので相談してみてください。
まとめ
以上が、私が実際に残業代請求を行った体験談と使用した資料の公開です。残業代請求は難しくないと思います。基礎知識や手順を把握しておけば、自分で行うことも可能です。もちろん、弁護士や労働相談窓口などの専門家に相談することもおすすめします。
なお、残業代には時効が設定されていますので注意が必要です。
私が回収したとき(2020年)には過去2年間が上限でしたが、法改正によりこの期間が延長されるそうですので、長く勤めている方ほど回収できる残業代は大きくなります。しっかりと情報を整理しておいてください(2021年現在では3年間)。
人によっては回収額が数百万円〜1千万円以上にもなる可能性は十分にあります。
もし今そのお金があったら何をしますか?
自分のやりたかったこと、欲しかったもの、将来のため、いろいろな使い方があり、あなたの人生を豊かにしてくれるでしょう。
あきらめる前に一度試してみる価値は十分あるとおもいますので、準備だけでも是非試してみてください。
参考動画|労働弁護士 徳田タカヒロ
以上、みなさんの参考になれば幸いです。
それでは