労働問題とは、企業と従業員との間で発生するトラブル、あるいは、職場で起こる上司と部下のトラブルなど従業員同士のトラブルをいいます。労働問題の具体例としては、雇用の最初の段階における「採用のトラブルや採用内定取り消しのトラブル」、雇用期間中の「残業代未払いやハラスメントなどの労働条件のトラブル」、雇用の終了の段階における「不当解雇や退職金未払いなどの雇用終了のトラブル」などがあります。
労働問題に直面したとき、多くの人は弁護士に相談したいと思うでしょう。しかし、弁護士に相談するといくらかかるのか、どのような費用が発生するのか、不安に感じる方も多いと思います。そこで、この記事では、労働問題の解決にかかる弁護士費用の相場や内訳などを、私の実際の体験談を交えながらお話しします。
目次
労働問題の解決には3つの手続き方法がある
まず、労働問題の解決には、主に以下の3つの手続きがあります。
- 労働相談:弁護士に労働問題について相談し、アドバイスや指導を受けること。
- 労働審判:労働審判委員会に申し立てをして、労働問題の解決を求めること。
- 訴訟:裁判所に訴えを提起して、労働問題の解決を求めること。
これらの手続きにかかる弁護士費用は、以下のようになります。
- 労働相談:相談料として、1時間につき5,000円~1万円程度。
- 労働審判:報酬として、回収できた金銭の20~30%程度。
- 訴訟:報酬として、回収できた金銭の20~30%程度。
また、これらの手続きには、手数料や交通費などの経費もかかります。
- 労働相談:経費として、交通費や郵送費などがかかる場合があります。
- 労働審判:経費として、申立て手数料や証拠調査費用などがかかります。申立て手数料は、請求額の0.5%で、最低3,000円、最高50,000円です。
- 訴訟:経費として、訴訟手数料や証拠調査費用などがかかります。訴訟手数料は、請求額の1.2%で、最低8,200円、最高1,500,000円です。
以上のように、労働問題の解決にかかる弁護士費用は、手続きの種類や内容、回収できた金銭の額によって異なります。また、弁護士によっても費用の設定は異なるので、事前に見積もりを取ることが大切です。
弁護士費用の上限はない
今回のテーマは弁護士費用についてお話しします。
結論から言うと、弁護士報酬に制限はありません。
弁護士側が自由に設定することができます。
そのため、弁護士事務所に相談する時は、必ず報酬体系について聞いておきましょう!
弁護士事務所によって自由に弁護士費用が設定できるのだとしたら、目安は全くないのか?と言うと、とそういうことではないです。
弁護士費用には一定の基準が存在します。
それが
(旧)日本弁護士連合会
報酬等基準
というものです。
すでに廃止された基準ではありますが、こちらの内容を目安にした弁護士報酬を採用している弁護士事務所もありますので、弁護士費用の参考になるでしょう。
例えば、500 万円の未払い残業代請求をする場合の例を見てみましょう。
①|着手金
500 万円 ✖️ 5 %
+
9 万円 = 34 万円
②|報酬金
500 万円 ✖️ 10 %
+
18 万円 = 68 万円
③|合計
① 34 万円 + ② 68 万円
= ③ 102 万円
※金額は税別です
上記のようになるので、だいたい目安としては請求額の20 %程度と考えておけば良いでしょう※別途消費税がかかりますので注意してください。
また、裁判になった場合は追加費用がかかります。裁判費用も弁護士事務所によって違うと思いますが、私の場合は請求額300 万円以内で5 万円と言われていました。
こちらも請求金額によって費用が変わってきますので、最初の相談時点で確認しておいた方が良いでしょう。
なんとか残業代を回収できても、予想以上に弁護士費用が取られて手元にほとんど残らなかった。とか、裁判時にこんなに費用がかかると思わなかった。なんて思うようなことがないように、事前に調べておくことが重要となります。
弁護士費用の目安は回収額の20%程度
冒頭でも述べましたが、「弁護士費用はだいたい回収額の20 %くらい」と書いていますが、弁護士事務所によってはこれよりも手数料が高額になる場合は十分に考えられるため、注意しておきましょう。
ですが、法テラスや日本労働弁護団で紹介してくれる弁護士は昔設定されていた基準、
「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」
というものに従って決めているところも多いようです。
参考資料として日本弁護士連合会報酬等基準の一部を載せていますが、対象は民事事件の項目の先頭にある項目です。
実際に弁護士を利用して時にかかった費用
以下は私が実際に依頼した際の費用の内訳について記載しますので、弁護士選びの一つの参考として読んでいただければと思います。
- 相談料
- 着手金
- 成果報酬
- 裁判になった場合の裁判費用
私の場合は経済的に苦しかったので、成果報酬の回収の際に全ての費用を差しいてもらう形で支払いました。
私が言われたのは、45 分 5,000 円でした。
ただし、相談中にここの事務所に依頼して問題ないと判断してすぐに依頼したので、相談料は免除してもらいました。
他の事務所も調べてみましたが、大体30 分 〜 1 時間で5,000 円程度と考えておけば良いと思います。
相談料の大体の基準は(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に合わせて設定しているところが多いようです。
着手金は10 万円 + 消費税10 %
中には着手金無料の弁護士事務所も少なくないですが、その場合は成果報酬等の合計で考えると割高になっている場合も多いので、よく確認しておきましょう。
事前に説明があると思いますので、その時に全体の費用がどの程度かかるのか?という質問は必ずしておくようにしましょう。
成果報酬は金額によって異なります。
回収額ごとにかかる費用は次の通りです。
300 万円以下の場合|16 %
300 万円超、3,000 万円以下の場合|10 %+18 万円
3,000 万円超、3 億円以下の場合|6 %+138 万円
3 億円を超える場合
|4 %+738 万円
何度も言いますが、弁護士事務所で自由に設定できる部分ですので、回収額との兼ね合いでどの程度の負担になるのかを確認しておきましょう。
5 万円+消費税
実際には裁判までは行かずに和解というケースが多いそうですが、もし裁判になった場合は上記の費用が別途かかるとのことでした。
弁護士事務所によっては、かかった作業工数や作業時間ごとに加算されたりする場合もあるそうなので、ここも事前の相談の時点で確認しておいた方が良いでしょう。
まとめ
なんとなくイメージできましたか?
私も最初に依頼するまでは「一体いくらかかるんだろう?」と不安でしたので、少しでも皆さんの不安が軽減されたなら幸いです。
ただし、あくまで私の経験ですので、実際に依頼する弁護士事務所によっては支払う金額が大きく異なる場合がありますので必ず相談時に確認しましょう!
労働問題は、自分の権利や生活に大きな影響を及ぼすことがあります。そのため、労働問題に直面したときは、早めに弁護士に相談することが重要です。弁護士に相談すると、費用はかかりますが、その分、労働問題の解決の可能性やスピードが高まります。また、弁護士費用を節約する方法もありますので、費用面で不安に感じる方も、まずは弁護士に相談してみましょう。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
それでは